天皇賞・春を制したレインボー、引退して種牡馬入り

[ 2018年6月6日 05:30 ]

天皇賞・春でシュヴァルグラン(右、牡6=友道)を内から捕まえ悲願のG1初制覇を達成したレインボーライン(牡5=浅見)(撮影・平嶋理子)
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 「第157回天皇賞・春」(4月29日、京都)で10度目の挑戦にして悲願のG1制覇を果たしたレインボーライン(牡5=浅見)が引退、種牡馬入りすることが5日、分かった。浅見秀一師(67)が明かした。同馬は同レース後に故障が判明し、その後の精密検査で「右前肢球節後面の腱、じん帯損傷の疑い」との重度の診断が下されていた。けい養先は優駿スタリオンステーション(北海道新冠町朝日)で、シンジケートが組まれることも決まった。

 絶対王者キタサンブラックが去った古馬戦線を盛り上げるはずだった春の天皇賞馬に、無念の決断が下された。

 レインボーラインは「天皇賞・春」で1着入線後、鞍上の岩田が「歩様がおかしかったので」と下馬。同馬にとって10度目のG1挑戦での悲願達成だったが、ウイニングランは行われず、馬運車で京都競馬場の診療所へ運ばれた。レース直後には歩様に異常を来している状態である「右前肢ハ行」と診断されていたが、5月2日に栗東トレセン診療所で精密検査を受けた結果、骨にこそ異常はなかったものの、「右前肢球節後面の腱、じん帯損傷の疑い」との重症と判明。現役続行の危機に面していた。

 その後、同馬は栗東トレセンを離れ、滋賀県甲賀市のノーザンファームしがらきに移動。経過観察されてきたが、最終的に長期の治療、休養を経たとしても、競走能力の喪失につながる故障と判断。現役続行は極めて厳しく、「天皇賞・春」からわずか37日目で引退との早期決断に至った。

 同馬を管理する浅見師は「天皇賞は届かないようなところから届いた。あの執念と根性は、今も目に焼き付いている」と回顧。陣営では当初、凱旋門賞(仏G1)挑戦の青写真も水面下で描いていた中での引退となるが、同師は「(父の)ステイゴールドの後継種牡馬はオルフェーヴルやゴールドシップといるけど、レインボーラインも負けないように頑張ってほしい。素晴らしい遺伝子を引き継ぐ2世をきっと誕生させると思う」。また、同馬を所有する三田昌宏オーナー(68)も「ありがたいことに、すでに種牡馬の話を進めていただいており、レインボーラインの子供たちが日本全国の競馬場で、またロンシャンで、チャーチルダウンズで疾走する姿を夢見ています」と、第2のステージに向けてエールを送った。

 今後は種牡馬としてシンジケートが組まれる予定。7月頃に優駿スタリオンステーション入りし、来春から種付けを開始する。

 ◆レインボーライン 父ステイゴールド 母レーゲンボーゲン(母の父フレンチデピュティ)牡5歳 栗東・浅見厩舎所属 馬主・三田昌宏氏 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦歴22戦5勝 総獲得賞金4億5046万6000円。

 ◇シンジケート 種牡馬について組織される株主の集まりのこと。1頭の種牡馬を数十株に分けて分配し、その保有株数に応じて種付けの権利を得る。通常、組まれる株数は40〜60株で、1株につき1頭分の種付けの権利を持つ。ちなみに、シンジケートランキングの総額1位はディープインパクトで51億円。1株価格は8500万円で、募集口数は60口だった。

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