42歳ミナリク“春の主役”へ!天国の友と憧れの地で羽ばたく

[ 2018年2月9日 05:30 ]

美浦トレセンを訪れ笑顔でポーズをとるミナリク
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 初の短期免許(4月2日まで)を取得し、今週から日本での騎乗を開始するフィリップ・ミナリク(42)。ドイツを拠点に活躍するベテランは、熱望していた日本滞在の夢を実現させ気合が入る。来日の裏には2人の親友の存在も。日本への思い、友への思いとは…。新たなチャレンジを決断した胸の内に迫った。

 95年ジャパンC。ランドがドイツ馬として初めて日本のG1を制した。当時、弱冠20歳だったミナリクの心を揺さぶった。「衝撃だった。ドイツ馬が日本のG1を勝ったのもそうだが、日本であれほど大きなレースが開催されていることすら、その時初めて知ったんだ」。母国チェコでアマチュアとして騎手人生を歩み始めていたミナリク。身近な隣国ドイツの馬の雄姿に「いつか日本で乗ってみたい」との思いを抱いた。

 その後、ドイツへと拠点を移し白星を重ね同国を代表する騎手へと成長。14年ジャパンC、アイヴァンホウとのコンビで待望の初来日。その後も15年、昨年とジャパンCに3度騎乗した。「実際に騎乗して、日本の競馬は想像以上に素晴らしいと感じた。設備、質、技術、どれを取っても世界一と言っていいレベル」。夢をかなえると、今度は短期免許で、本腰を据えて騎乗したいとの思いが募った。

 2人の親友が背中を押した。1人はシュタルケ。短期免許で何度も来日し、日本でもおなじみのドイツ人騎手だ。「相談に乗ってもらい、人もたくさん紹介してもらった。彼は日本での経験が豊富だから、いろいろ教えてくれて本当に助かった。感謝している」

 もう1人はダニエレ・ポルクさん。昨年のジャパンCで初来日(イキートス15着)したが、その騎乗を最後に今年1月、がんのため34歳の若さでこの世を去った。「彼とは4年間、同じ厩舎で仕事をした。妻より長い時間を過ごした時期もあった。僕と同じで日本が大好き。自分の命が長くないことを知りながら、夢だったジャパンC参戦を果たした。往復の飛行機も含め、日本に滞在中ずっと行動を共にしたのが、今となっては一番の思い出だよ」

 今回の滞在には、ポルクさんの形見の鞍を持参した。「彼の奥さんから譲り受けた。全てではないが、レースで使わせてもらう」。鞍には早世した親友のイニシャル「D・P」が刻まれている。「何があっても笑顔を絶やさないポジティブな男だった。日本での騎乗を熱望していたから、今回のことは彼も喜んでくれていると思う。彼のためにも勝ちたいし、天国から少しだけ、後押ししてくれるかもしれないね」

 2人の親友に導かれての初滞在。さまざまな思いを背負い42歳のベテランは新たな扉を開く。

 ◆フィリップ・ミナリク ☆生まれとサイズ 1975年3月10日、チェコ(当時はチェコスロバキア)・プラハ出身の42歳。父・ファーディナンド氏は同国のリーディングを2度獲得した騎手。1メートル69、53キロ。

 ☆キャリア 高校に通いながらアマチュア騎手となり、91年にプラハで初勝利。96年に拠点をドイツに移す。00年に自身初の年間100勝突破。ドイツリーディングを4度獲得(05、11、16、17年)。

 ☆趣味も競馬 世界の競馬場巡りが趣味。東京では騎乗経験があるが京都、中山での騎乗を心待ちに。「オファーがあればどこでも行く。時間があれば地方の競馬場にも足を運びたい」

 ☆親日家 好きな日本食は魚料理で刺し身、照り焼き。今回の来日では「神戸ビーフをぜひ食べたい」。好きな街は東京。「世界一のビューティフルシティー」

 ☆覚えた日本語 私は〜です。おはようございます。こんにちは。ありがとう。もしもし。

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