【函館2歳S】ガーシュウィン 昨秋閉鎖・名門「トウショウ」の血が騒ぐ

[ 2016年7月20日 05:30 ]

閉鎖された名門トウショウ牧場の生産馬ガーシュウィンが2歳重賞一番星を狙う

 夏の函館のラストを飾る「第48回函館2歳S」。近年は関西馬が強く、今年も強力布陣だが、関東勢も負けてはいない。函館芝1000メートルでデビュー勝ちのガーシュウィンは、後続を4馬身ちぎる圧巻の内容。昨秋に閉鎖された名門トウショウ牧場の生産馬が、豊富なスピードを武器に2歳重賞一番星を狙う。

【函館2歳S】

 底知れないポテンシャルを感じさせる圧勝劇だった。ガーシュウィンのデビュー戦は今月2日の函館芝1000メートル。好スタートを決めてハナに立つと、向正面から4角まで手綱を引っ張ったまま。前に行きたがる馬を、鞍上の勝浦が必死になだめながら進んだ。並の馬なら馬群に沈んでも不思議ではない展開。だが、直線に入り押さえていた手綱を緩めると一気に加速。あっという間に後続をちぎった。2着につけた4馬身差は、先週までに行われた1000~1200メートル(函館、阪神、福島、中京、ダート含む)の新馬戦全21戦の中で最大着差だ。

 「目いっぱいの調教をやったことがなかったから、実戦でどうかと思っていたが、余力があって思った以上の勝ちっぷりだった」。担当の藤原厩務員は初戦を振り返った上で、成長著しい愛馬をこう評した。「デビュー前にトレセンにいた頃は、調教後にハアハアと息をする感じだった。それが実戦を使ってから息の入りが凄く良くなった。今は調教を1回やるごとに、さらに良くなっている」

 父アドマイヤマックス、母の父サクラバクシンオーは共にスプリントG1の優勝馬。初戦の体重が458キロとそれほど大柄ではないが「筋肉質でいい体」(同厩務員)は短距離向きで、1200メートルは最適の舞台と言える。

 昨年10月に惜しまれつつ閉鎖されたトウショウ牧場の生産馬。母系をたどれば天馬トウショウボーイを生み、同牧場の礎となった名繁殖牝馬ソシアルバターフライに行き着く。一族には92年函館2歳S(当時は3歳S)を勝ったマザートウショウも名を連ねる。オールドファンにはたまらない名門の血筋を引く。

 今年で開設120周年。国内現存の競馬場で最も古い歴史を誇る函館で、日本競馬史に残る名牝系の子孫が重賞に挑む。これもまた競馬の面白さだ。

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2016年7月20日のニュース