【函館スプリントS】ティーハーフ、どんじりから強襲V!3連勝本格化

[ 2015年6月22日 05:30 ]

最後の直線で抜け出し勝利したティーハーフ(左)

 函館開幕週のメーン「第22回函館スプリントS」では4番人気の国分優騎乗ティーハーフが、どんじりから34秒0の切れで強襲V。3連勝で初タイトルをつかんだ。

 手応えも切れ味も、1頭だけ次元が違った。発馬直後の加速がつかず、最後方追走となったティーハーフ。3角を迎えても馬群からポツンと1頭取り残された状態。開幕週の先行有利な芝だけに、これは厳しい。場内のファンはもちろん、スタンドで行方を見守る西浦師ですら、そう思っていた。

 だが、鞍上の国分優は冷静だった。3角すぎで大外に持ち出すと一気に加速。内の15頭をまとめてねじ伏せるようにコーナーを回り切る。残り200メートルで、もがくライバルたちに有無を言わせず突き抜けた。「好位で運ぶつもりも、ダッシュがつかなかった。ただ、前が横一線でやり合っていたので、脚がたまるまで待とうと思った。直線は見事な脚。子供を相手にしているかのよう。凄かった」。手綱から伝わった快感に酔いしれながら、国分優は気持ち良さそうに汗を拭った。

 西浦師は満面の笑みで殊勲の人馬を出迎えた。「びっくりしたね。前半はあれっと思ったが焦らず、外に出してから躊躇(ちゅうちょ)なくまくり切った。彼は2歳の頃からこの馬の調教をつけてくれている。最近ようやく(レースに)乗せてあげられるようになって、ずっと結果も出してくれている。それが一番うれしい」。普段から目をかけている24歳の躍進。息子を見守る父親のような柔和な表情で喜んだ。

 3連勝で短距離界の新星へ。指揮官は「精神面が成長し心身がかみ合って、持っていた能力を発揮できるようになった」と快進撃の愛馬に目を細める。次走は放牧を挟んでキーンランドC(8月30日、札幌)。そして秋はスプリンターズS(10月4日、中山)、さらには兄ラッキーナインが勝っている香港スプリントも視野に入れ、夢は大きく広がる。

 「きょうの走りならG1を意識できる」。西浦師の確信の言葉にうなずいた国分優は「馬に負けないよう自分も腕を磨きたい」と決意を新たにした。人と人、人と馬との絆を胸に、頂点を目指す。

 ◆ティーハーフ 父ストーミングホーム 母ビールジャント(母の父グリーンデザート)牡5歳 栗東・西浦厩舎所属 馬主・H・H・シェイク・モハメド 生産者・北海道日高町ダーレージャパンファーム 戦績20戦6勝 総獲得賞金1億4643万4000円。

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