【オークス】ノットフォーマル 大逃げで「中野コール」再び!?

[ 2015年5月20日 05:30 ]

馬場入りするノットフォーマル

 伝説のダービー制覇から四半世紀。中野栄治師(62)が今度は調教師として東京芝2400メートルに挑む。牝馬2冠目の「第76回オークス」は混戦模様で、桜花賞5着のノットフォーマルも虎視たんたん。狙うは中野師がアイネスフウジンに騎乗して逃げ切った90年ダービーの再現だ。

【オークス】

 90年5月27日は日本競馬史に残る一日となった。レコードとなる19万6517人で立すいの余地もない東京競馬場。世紀の逃げ切りを演じたアイネスフウジンの馬上で中野師は祝福の「ナカノコール」を浴びた。

 あれからちょうど25年。「早いね。年を取るわけだよ」。少し遠い目をした中野師。今度は調教師としてノットフォーマルで同じ舞台に挑む。調教師に転じてからもスプリントG1・2勝のトロットスターなど活躍馬を出してきたが、東京芝2400メートルのG1に管理馬を出走させるのは初めて。「位置にはこだわらない馬だけど、スローでだんごになったら切れる馬にやられる。有力馬に追い込みタイプが多いから、離して逃げたら面白いんじゃないか」と大逃げすら視野に入れている。

 前走・桜花賞は2番手からしぶとく粘って5着。フェアリーSの勝ち馬ながら16番人気と前評判は低かったが、関東馬最先着で意地を示した。「展開も向いたとはいえ、大したもの。前走から良くなっているし、精神力が強くてカイバ食いなどの不安がないのがいい」と目を細める。

 鞍上は中野厩舎所属でデビューした黛。他の上位騎手からも“売り込み”があったが、師は桜花賞前から「オークスまで黛でいく」と明言していた。自身はアイネスフウジンの皐月賞を1番人気で2着に敗れたが、続くダービーも手綱を任された。「今はいい馬は実績のある騎手に乗り代わることが多いが、この方が“絵になる”でしょう。弟子だし、自分で(重賞を勝って)チャンスをつくったんだから」と師。黛も「ムキになるタイプじゃなくて乗りやすいから、2400メートルが嫌だなという不安はない。チャンスをもらったし、遠足気分ではない楽しみがある」と意気に感じている。

 「流れひとつ。人気の差し馬に乗ってたら、なかなか動けないものだよ」。騎手心理を知り尽くす師はニヤリと笑った。一発を狙う大舞台。ノットフォーマルが鮮やかな逃げ切りを演じた暁にはマユズミコールに続いてナカノコールまで湧き起こるかもしれない。

 ≪「○○コール」の元祖≫88年にJRA移籍した芦毛の怪物オグリキャップが第2次競馬ブームを巻き起こす中、アイネスフウジン伝説が起きた。

 20年目の37歳中野は華麗な騎乗フォームでJRAのCMに起用される一方、若手の台頭に騎乗数は減っていた。弥生賞4着、皐月賞2着に敗れていたアイネスだが、中野は己を信じて逃げまくった。直線入り口で迫る21歳武豊&ハクタイセイを突き放す。残り100メートル、22歳横山典&メジロライアンが大外から伸びた時、勝負は決していた。2分25秒3の堂々のダービーレコード。一部若者から起こった称賛のコールは東京のマンモススタンドを覆い尽くした。

 「ナ・カ・ノ!!ナ・カ・ノ!!」

 伝説のナカノコール。同じ90年12月有馬記念でラストランを飾ったオグリキャップの「オグリコール」など、勝者に送られる「○○コール」の元祖だった。

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