【フェブラリーS】ベルシャザール12秒7“年度代表馬狙う”

[ 2014年2月20日 05:30 ]

ベルシャザール(手前)は万全の併せ馬でライバルたちを迎え撃つ

 14年G1シリーズの開幕を告げる「第31回フェブラリーS」の追い切りが19日、栗東トレセンで行われた。昨年のジャパンCダートを制し最優秀ダートホースに選出されたベルシャザールが坂路で力強い脚さばきを披露すれば、G1・6勝目を狙うホッコータルマエはライバルを上回る切れ味で好調をアピール。ドバイワールドC(3月29日、メイダン)を目指すキングカメハメハ産駒2頭が早くも火花を散らした。今週の東京は通常の土日に加え、月曜(24日)に雪で順延となった6日目(メーンは共同通信杯)が組まれている。

【フェブラリーS】

 青鹿毛の重戦車が木片を蹴散らして坂路を突き進む。ベルシャザールの最終追い。パートナーのロングロウ(7歳オープン)が芦毛とあって、500キロを超える漆黒の馬体がより凄みを増したように映る。1馬身追走し馬体が離れた状態でいったん前へ。再び馬体を寄せてきた芦毛を招き入れるように余裕の脚色で併入した。4F53秒2、1F12秒7。見守った松田国師は「先週は馬場が重くて最後がいっぱい(1F13秒4)になったが、きょうは上手に追い切れた」と納得の表情だ。

 父キングカメハメハも管理した松田国師。息子についても「胸前が狭く手脚が長い。そして走った時の重心の位置が高い。体形もフォームも父に似ている」と話す。そしてもう1頭、切っても切り離せないのがクロフネだ。同じく師が育て芝からダート路線に転向。武蔵野S→ジャパンCダートを連勝した軌跡が一致する。クロフネも同じ道でフェブラリーSを目指したが屈腱炎を発症し、引退に追い込まれた。「クロフネが道半ばでたどり着かなかったレース。厩舎一同、出走できることに感慨深いものがある」としみじみ語る。

 指揮官にはもう1つ、大きな夢がある。ベルシャザールで年度代表馬のタイトルを獲ることだ。昨年の最優秀ダートホースの称号こそ手に入れたが「芝は細かくカテゴリーが分かれているのに、ダートはひとくくりにされて隅の方に置かれた印象」と師。「中央、海外、地方のG1を全て勝てば頂点への道が開けるかも」と意欲を示す。54年から始まった年度代表馬だが、ダートを主戦場にした馬が獲得したことはない。来月のドバイ遠征を前に、どうしても勝っておきたい一戦だ。

 「強い馬がきっちり仕上げて臨んでくるのがG1。楽観視はしていない」。慎重な言葉で締めくくった師は最後にこうつぶやいた。「自分が思っている以上に、馬が高い次元にいるのかもしれない」。壮大な夢への最初の関門に挑む。

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