【オークス】7番人気“伏兵”エリン嵐の戴冠

[ 2011年5月23日 06:00 ]

<オークス>レースを制したエリンコート(中)、2着・ピュアブリーゼ(右)、3着・ホエールキャプチャ

 牝馬クラシック第2弾「第72回オークス」が22日、東京競馬場で行われ、7番人気の伏兵エリンコートが逃げ粘るピュアブリーゼをゴール前でかわし、3連勝でG1初制覇を果たした。後藤浩輝騎手(37)は44度目の挑戦でクラシック初勝利、09年開業の笹田和秀師(54)はG1・2戦目で頂点を極めた。2番人気ホエールキャプチャは3着、1番人気の桜花賞馬マルセリーナは4着に沈んだ。

 雨中の東京に個性派女王が誕生した。エリンコートのレースぶりは最後までヒヤヒヤものだった。4角6番手で直線へ。後藤が追い出すとグッと伸びたが内へとササってスピードリッパーに接触。ゴール前では逃げ粘るピュアブリーゼにギリギリまで接近した。必死に立て直しつつ栄光のゴールへ。褒められた勝ち方ではなかったが、走りに集中し切れなくても勝ってしまうところに能力の高さを感じさせた。

 「馬が照明を気にしてしまい真っすぐ走らせることに必死だった。頭の中が真っ白で、勝ったより申し訳ないの気持ちの方が大きい」。初クラシックにも後藤は神妙な表情だ。内斜行で過怠金7万円。ただ、最後までムチと手綱で矯正し続けた執念がVにつながったことは確かだ。

 道中の判断も冷静だった。4角手前、柴田善(ピュアブリーゼ)と蛯名(スピードリッパー)の手応えの良さを見て、勝負は前の馬と決めて追い出した。「気持ちをスパッと切り替えられた。これで後方の馬に差されるなら仕方ないと腹をくくった」。マルセリーナ、ホエールキャプチャを視界から消した勇気。勝負の分岐点がここだった。

 09年開業の笹田師は先週のヴィクトリアマイルでレディアルバローザがアパパネ、ブエナビスタの2強に肉薄して3着。今度は2強を破って戴冠と勝負強い。「ホッとした。馬に感謝したい」と笑みを浮かべた。

 父はマイルとスプリントに強かったデュランダル。2400メートルをどうこなすかが焦点だった。「直線まで馬が自分を見失わず走れるよう教えてきた」と指揮官。気持ちを優先させ、坂路で柔らかく仕上げた。かつて調教助手として伊藤雄厩舎でエアグルーヴ、ファインモーションなど名牝を仕上げた師にとって難しい作業ではなかった。「ハミの受け方、走るフォームが変わっていた」と一変ぶりに後藤が驚いたほどだ。一息入れ、秋華賞(10月16日、京都)に挑むが、この学習能力の高さは心強い。

 今週はダービー。後藤はベルシャザールで頂点を目指す。「チャンスのある馬。大いに期待したい」。昨年2着(ローズキングダム)の雪辱へ、オークスVの勢いをそのままぶつける。

 ◆エリンコート 父デュランダル 母エリンバード(母の父ブルーバード) 牝3歳 栗東・笹田厩舎所属 馬主・吉田照哉氏 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績9戦4勝 総獲得賞金1億6468万2000円。

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2011年5月23日のニュース