【30日東京5R】兄の夢継ぐトウショウブラザー

[ 2011年1月28日 06:00 ]

東京デビューへ向け調整するトウショウブラザー

 志半ばで倒れた兄の分まで…。30日の東京5R新馬戦(芝1800メートル)でデビューするトウショウブラザー(牡=保田、父ティンバーカントリー)は、06年アルゼンチン共和国杯を勝ち、08年天皇賞・春に向けての調教中に無念の死を遂げたトウショウナイトの全弟。「兄弟」と名付けられた期待の星が、兄の背中を追いかけて初陣に挑む。

 関西馬が最も強かった頃、重賞タイトルは06年のアルゼンチン共和国杯だけだったが古馬中長距離路線で関東馬として奮闘したトウショウナイト。08年4月30日、天皇賞に向けての調教中に右第1指骨粉砕骨折を発症し、天に召されてもう2年半以上が過ぎた。夢をくれたナイトの分まで。「ブラザー(兄弟)」と名付けられたことが全弟への期待の大きさを物語る。

 兄も管理した保田師は感慨を込めて語る。「ナイトの弟には期待をかけ続けてきたが今回は特に全弟。当然楽しみは膨らむ。体つきもまずまずだからね」。ただ、本格化までに時間を要した兄同様、晩成の雰囲気があるという。

 「集中力が持続せず、まだ子供という感じかな。調教の本数はやっているし、時計も水準級のものはある。だがレース中、ペースがグッと上がった時に素早く反応できるかと言えば、その点はまだ物足りないかもしれない。兄もそういう面があった。こればかりは体が成長するのを待つしかない」。ナイトも初勝利の後、8連敗を喫した。破竹の3連勝でオープン入りを果たすのは、440キロしかなかった体が480キロ近くに達してから。ブラザーにもパワーを付ける時間が必要かもしれない。

 追い切りで感触を確認した武士沢も慌てる必要はないと語った。「体つきも、使いながら良くなっていきそうな感じ。兄は芝で走ったけど、この馬はダートが得意かもしれないし」。ただ、大人の体つきになった時の期待度は偉大な兄に負けていない。「背中の柔らかみは、かなりのもの。レースを使いつつ見極めたい」。陣営の評価は晩成でも、まずはデビュー戦。どんなパフォーマンスを見せてくれるか要注目だ。

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2011年1月28日のニュース