女子高生&OLが!44年ぶり女子レーサー復活へ

[ 2010年6月5日 06:00 ]

オートレースの選手候補生2次試験に合格した佐藤摩弥さん

 女性オートレーサーが44年ぶりに誕生する。オートレースを統括するJKAは4日、第31期選手候補生の2次試験合格者20人を発表。その中にはモトクロスの選手で埼玉県に住む高校3年生、佐藤摩弥さん(18)、東京都在住の会社員、坂井宏朱さん(26)の女性2人が含まれており、67年10月を最後に姿を消していた女子レーサーが復活することになった。選手養成所で9カ月の訓練を経て来年6月デビューを目指す。

 男女合わせて986人が受験し合格は20人。約50倍の難関を突破した佐藤摩弥さんは埼玉県内の高校の体育祭中に、母親から合格通知が届いたことを聞き喜びを爆発させた。「実感がわかないけど、うれしい。モトクロスを続けていたおかげだと思う」と声を弾ませた。全日本モトクロス女子選手権などで上位に入る腕前のライダー。9月には茨城県下妻市のオートレース選手養成所に入るため、高校は3年の1学期で中退するが「自分の夢を追いかけるのだから頑張ります」と決意をにじませる。
 もう1人の女性合格者、坂井宏朱さんはクラシックバレエを幼少期から15年続けるなど、運動能力は抜群。だが、佐藤さんとは対照的に「実は原付バイクにも乗ったことがないんです」と明かした
 受験したきっかけは08年12月、友人に連れられて初めて見たオートレース。「ひと目ぼれでした。もし今回の試験が駄目でも何度でも受けようと思いました」とOLからの転身を決意。「ゼロからの出発です。筋トレやバイクの免許取得など、やることはたくさんあります」と入所前から課題は山積みだが「将来はハンデなしで戦える選手になりたい」と熱い思いを語った。
 オートレースには発足3年目の52年から67年まで15年間にわたり女子選手が在籍。船橋、浜松で約20人が走り、“女傑”と呼ばれた岡本七恵が浜松で大活躍した。だが、同じメンバーによるレースでファン離れが起こり、60年には岡本も引退。62年に応募資格が「男子」に限定されたことなどから、女子は67年10月の船橋での出場を最後に姿を消していた。
 低迷するオートレースの活性化を目的に性別制限を撤廃した07年の30期選手候補生に女子の合格者はいなかったが、31期募集の今年は女子22人が1次試験を受験、4人が2次試験に進んでいた。
 あこがれてきたプロレーサーへ、夢の扉を開いた2人の女性。モトクロスのライダーだった高校生と原付にも乗ったことがないOLがどんな活躍をするか。女子競輪復活の道も開いたJKAの下重暁子会長は「久々の女性2人にはオート界に新風を吹き込んでほしい」と期待を寄せた。

 ◆佐藤 摩弥(さとう・まや)1992年(平4)5月16日生まれの18歳。埼玉県在住。モトクロス界で活躍する高校3年生で、05年のKIDSモトクロス中学生クラス、レディースクラスともにチャンピオン。08、09年の全日本モトクロス女子選手権シリーズランキング7位。

 ◆坂井 宏朱(さかい・ひろみ)1984年(昭59)2月25日生まれの26歳。東京都在住の会社員。主なスポーツ歴はクラシックバレエ15年、チアリーディング3年。オートバイ競技の経験はなし。

 ▼オートの選手養成 訓練施設は茨城県下妻市の筑波サーキット内にあり、2次試験合格者は選手として必要な知識、技能を習得するため9カ月間の合宿生活で養成訓練を受ける。卒業時に行われる選手資格検定に合格するとJKAの選手として登録され、各オートレース場に配属される。

 ◆男子合格者
 ▼特例合格 青山周平(25)=09年ロードレース世界選手権GP250クラス年間ランキング19位。岩田裕臣(26)=07年全日本ロードレース選手権GP125クラス年間ランキング1位。平塚雅樹(30)=06年モトクロス世界選手権IA1クラス日本GP20位。渡辺 篤(33)=08年鈴鹿8時間耐久ロードレース2位。木村享平(20)=08年JOCジュニアオリンピックカップ・スピードスケート・ショートトラック1500メートル2位
 ▽一般合格 大月渉(21)、鐘ヶ江将平(21)、栗原俊介(20)、小原望(29)、辰巳裕樹(25)、中尾貴志(20)、中山透(21)、春本綾斗(19)、藤波直也(18)、古木賢(23)、丸山智史(23)、森本優佑(18)、矢野正剛(23)

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2010年6月5日のニュース