ファン迷わす全天候馬場の普及

[ 2008年5月7日 06:00 ]

 【合田直弘の海外ターフ事情】レース史上2番目となる15万7770人の大観衆が詰めかけた3日のケンタッキーダービー。史上7頭目となる無敗のダービー馬誕生に、興行的には大きな盛り上がりを見せた一方で、馬券売り上げは前年を3・2%下回る、1億1455万ドル(約120億1700万円)にとどまった。「今年のダービーは予想が難しくて」というのがファンの声で、その背景にあるのが、近年急速に普及した全天候馬場の存在だった。

 例えば、直前に重賞2連勝を飾り2番人気に推されたカーネルジョンは、ここまでの6戦すべてが全天候馬場。ダート未経験馬がダービーに出てくることなど、数年前には考えられなかったことだ。彼にダート適性があるかどうかは全くの未知数だったわけだ。これでは馬券が買いづらいのも道理である。
 昨年のBCジュヴェナイル2着馬で、今季に入って重賞2連勝だったパイロは、最終ステップのブルーグラスSで10着と大敗した。その原因が、初体験だった全天候馬場にあったのか、あるいは調子落ちだったのか、ここでもファンは判断に迷うことになった。今年のBCは、全天候馬場のサンタアニタが舞台だ。ダービー馬ビッグブラウンも、ドバイWCを圧勝したカーリンも、現在のところ全天候馬場の経験がなく、彼らがサンタアニタで実力を出せるかどうかは、未知数なのである。(競馬評論家)

続きを表示

2008年5月7日のニュース