集中ポピー桜サク!/桜花賞

[ 2008年4月10日 06:00 ]

気を抜く癖を調教できっちり矯正されたトールポピー

 「第68回 桜花賞」(13日、阪神芝1600メートル)の最終追い切りでは2頭出しを敢行する角居厩舎勢が上々の動きを披露した。2歳女王トールポピーは抜け出してから気を抜く癖を調教できっちり矯正、唯一の死角もなくなった。ポルトフィーノは前走の敗戦を糧に、着々と巻き返しの態勢を整えている。桜花賞5勝の武豊がいかに同馬の非凡なスピードを引き出すか注目だ。

 2歳女王トールポピーにはソラを使う癖がある。“ソラを使う”とは前の馬を抜くと、気を抜いてしまうこと。その矯正は容易ではない。「いかに集中して走らせるかが調教のひとつのポイントだった」と前川助手が前走後の調教の狙いを説明した。
 先週、そして最終追いの今週もCWコースで両サイドに馬を置き、トールポピーが頭ひとつだけ出す形で直線を並走する。並んでいるので負けじと前へ行きたがる。ただし、鞍上・池添はがっちり手綱は抑えたままだ。
 「ギリギリまで馬を追い込む感じで。うちの厩舎でよくやる形」(前川助手)。フィニッシュまで抑えたままだから、時計は5F68秒7、ラスト1F12秒9と平凡だ。しかし、この角居流追い切りの見どころはその後。フィニッシュを過ぎて池添が手綱をしごくと、トールポピーははじかれたバネのように加速する。両サイドの並走パートナーを置き去りにしても、気を抜くより先に走りたい気持ちが勝るから、集中したままグンとひと伸びだ。ソラを使う間もない。
 「自分でハミを取って抑え切れないぐらいの感じ、文句なし。どの馬にでもできることじゃない。テンションが上がり過ぎないこの馬だから、ここまでやれる」と前川助手が満足感をにじませた。長所を伸ばすか、短所を消すか。調教には2種類あるが、トールポピーはとことん後者の道を極めてきた。
 末脚は追って確か。前々走が追い込み、前走が先行とレースセンスも抜群。そして実績も1番。その上に唯一の弱点と思えるソラを使わなくなれば、女王にスキなしだ。
 「この馬の競馬をするだけ。イメージは大体できています」。池添の自信の源泉は、短所を打ち消した完ぺきな調整過程にある。

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2008年4月10日のニュース