インディ100年の歴史で初女レーサーV

[ 2008年4月21日 06:00 ]

インディカー・シリーズで女性として初優勝、表彰式で笑顔を見せるダニカ・パトリック

 もてぎで女性が勝った!米インディカー・シリーズ第3戦「インディジャパン300マイル」は20日に栃木・ツインリンクもてぎ(1周2・414キロ)で200周の決勝を行い、6番手スタートのダニカ・パトリック(26)が残り3周でトップに立ち初優勝を飾った。1909年からスタートしたインディカーレース100年の歴史で女性ドライバーが優勝するのは初めて。日本勢は武藤英紀(25)が11位、ロジャー安川(30)はリタイアで14位に終わった。

 トップでチェッカーフラッグを受けた“クールビューティー”は夫のポール氏、母親のデブさんらと抱き合い、感情を抑えきれずに涙を流した。2005年に参戦してから通算50戦目のレースで、米最高峰の自動車レースを制覇。「私が歴史をつくるんだという確信はしていた。でも実際に優勝したら、ただの女の子に戻って泣きだしてしまった」。07年の第16戦での自己最高2位を上回り、女性として初めてオープンホイール(タイヤむき出し)レースで頂点に立った。
 作戦がピタリとはまった。無理のない走行を続けたパトリックは、燃費の向上に成功。残り10周の時点では6位だったが、上位4台が給油のためピットインしたのに伴って、一気に2位に浮上。残り3周でトップに立つと、そのままゴールを走り抜けた。「燃費勝負となり、チャンスだと思った。子どものころから夢だった瞬間がついに来た」と感慨に浸った。
 05年にインディカー・シリーズにデビューし、雑誌で水着姿を披露するなど話題を呼んだが「客寄せ用の色物だ」との中傷もあった。1メートル57、45キロと小柄で可愛らしいが、サーキット上で笑顔を見せることはない。07年第6戦では接触したウェルドンをレース後に小突くなど性格は男勝り。夜遅くまでコースを入念に調べて加減速のポイントを探る研究熱心さが生き、ついに栄冠をつかんだ。
 もてぎは初参戦の05年に2番手から4位に入った思い出深いサーキットだ。名門「アンドレッティ・グリーン・レーシング」に移籍した07年は2位1回、3位2回と好成績。「何回も“いつ優勝するのか”という質問を受けていたが、これで二度と答えなくていいのでホッとしたわ」。偉業を成し遂げたヒロインを祝福するように、レース後に今大会初めて晴れ間がのぞいた。

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2008年4月21日のニュース