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寿以輝3戦ぶりKOで無傷の5連勝も…父バッサリ「個性ない」

[ 2016年7月10日 05:30 ]

<辰吉寿以輝VSリオ・ナイゴラン>寿以輝(左)に“公開説教”を行う父・辰吉丈一郎

スーパーバンタム級6回戦 ○辰吉寿以輝 3回2分11秒TKO リオ・ナインゴラン●

(7月9日 エディオンアリーナ大阪第2)
 プロボクシングの辰吉寿以輝(じゅいき)が強烈なダメ出しを食らった。初の6回戦、初のメインイベンター、初の外国人が相手という初ものづくしのプロ5戦目は、ボディー攻撃で3度のダウンを奪って3回2分11秒TKO勝ち。父・丈一郎(46)の代名詞とも言うべき腕グルグルパフォーマンスも飛び出て、3試合ぶりのKOで無傷の5連勝とした。しかし、偉大なチャンプから「キツツキのような連打」「個性がない」と一刀両断された。

 ひと世代前のファンにはたまらない光景だった。3回早々に左ボディーで倒した寿以輝が、右腕を大きくグルグルと回した。そう、父・丈一郎の代名詞ともいうべき挑発ポーズだ。客層が若すぎたか、場内の盛り上がりはイマイチだったが、この後、インドネシアバンタム級5位・ナインゴランにボディーの嵐を見舞って2度ダウンを奪って試合を決めた。フィニッシュは3つとも左ボディーだった。

 「試合前から(グルグルポーズを)やったろうと思ってました。でも、元々は(父ではなく)アリなんで」

 父のパフォーマンスを披露した浪速のジョー2世も“元ネタ”は6月3日に亡くなった元ヘビー級王者ムハマド・アリさんだとした。もちろん、これは「照れ隠し」(大阪帝拳・吉井会長)。19歳らしい素直になれない一面をのぞかせた。

 3試合ぶりKOを狙い通りボディーで決め、会見では得意満面で5連勝の余韻に浸った。しかし、父が会見ルームに入ると和やかなムードが一変。グルグルポーズについて「まあ、ええんちゃう」と鼻で笑った後から言葉にトゲが出てくる。「こんな試合しとったら先が思いやられる」。危険を察知した寿以輝が「風邪を引くから」と退室すると、その後は大独演会になった。

 ダウンに至ったボディーの連打は「キツツキじゃあるまいし」と手厳しい。コンビネーションブローの必要性を説き、「これぞ寿以輝というスタイルをつくれ」と個性ある魅せるボクシングを求めた。殺し文句は「辰吉の名前がぶら下がっとる以上は、背負っとるもんがちゃう」。元世界王者の要求は高かった。

 快勝しながらトホホな1日になった寿以輝。年内はあと2戦を予定。1日も早く父を見返す。

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