曙 春巡業にサプライズ登場、貴親方と13年ぶり同じ土俵に
かつては互いに火花を散らし、にらみ合った土俵上。今では笑顔で仕事を励ます関係となった。大相撲の春巡業が16日、群馬県高崎市で行われ、第64代横綱で現在はプロレスラーとして活躍する曙(46)が中入り前にゲストとして土俵上にサプライズで登場し、第65代横綱で今回の春巡業から日本相撲協会の巡業部長を務める貴乃花親方(43)に激励の思いを込めて花束を渡した。
2人は土俵上で目と目を見つめ合い、笑顔を浮かべた。そんな姿を目撃した満員御礼の館内も拍手喝采。88年春場所で初土俵を踏んだ同期生として、しのぎを削った。そして、ともに横綱に昇進。何度も何度も、自らが賜杯を抱くために千秋楽結びに真っ向勝負でぶつかり合った。現在は曙がプロレスラーに、貴乃花は相撲協会に残って親方に。別々の道を歩んでいる。
2人が同じ土俵に上がったのは03年以来、実に13年ぶり。貴乃花親方の断髪式で、曙がはさみを入れた。しかし、その時は「頭しか見てない」ので、土俵上で見つめ合ったのは、最後の対戦となった「00年九州場所14日目以来」と曙。決して記憶は消えていない。
貴乃花親方は土俵上での久々の再会について「わざわざ来てくれた。ありがたいです」とかつてのライバルに感謝した。一方の曙は「土俵に上がった瞬間にどきどきした。昔の大一番を思い出しました」と感慨に浸った。そして「自分は協会から離れた人間だけど、相撲が大好きだし、応援している。力になれることがあれば、出てきますよ。いや~、いいっすね。相撲の巡業って」。たとえ別々の道を歩んでも、土俵に上がれば心を通わすことができる。それは、互いに命を懸けて相撲を取った誇るべき過去があるからだろう。
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