×

【浜田剛史の目】メイウェザーは現代のルールが生んだ“負けない王者”

[ 2015年9月14日 05:30 ]

右ストレートを浴びせるシーンもあったが…(AP)
Photo By スポニチ

WBA、WBC世界ウエルター級タイトルマッチ12回戦 ○統一王者メイウェザー 判定WBA暫定王者ベルト●

(9月12日 米ネバダ州ラスベガス)
 最後の最後までメイウェザーらしかった。KOを狙ってパンチを集める場面もあったが、相手がぐらつかないと見るやKOできればもうけもの、という内容に終始した。最後だからといって姿勢は変わらず、ブーイングも楽しんでいたようだ。

 メイウェザーはパンチをよける能力が優れている。もっと打てるはずなのに危険を冒さず、打った次の瞬間にはよける動作に入るため、打ち返そうにもその場所にはいない。チェスのように数手先の動きを読み、試合中に判断して修正もする。10年のモズリー戦では2発食らうとすぐにガードを上げた。後ろに下がればつけ込まれる場面だっただけに、さすがの対応力だった。若い時はもっと動いていたが、今は無駄な動きをせずに打つ瞬間、よける瞬間だけスピードを上げる。省エネだが緩急がついて逆に読まれにくくなっている。

 かつてボクシングはKOを狙うことが勝利につながり、ファンの人気を呼んだ。だが、必ず10―9をつける採点方式に変わり、今ではジャブを当てるだけでもポイントになる。「打たれなければ負けない」に徹したメイウェザーは現代が生んだ王者と言えるが、時代は変わるもの。今後は「負けない」に加えて「魅せる」ボクサーも出てくるはずだ。(元WBC世界スーパーライト級王者)

続きを表示

2015年9月14日のニュース