メイウェザー 49戦全勝もブーイング!“悪役”貫き花道
WBA、WBC世界ウエルター級タイトルマッチ12回戦 ○統一王者メイウェザー 判定WBA暫定王者ベルト●
(9月12日 米ネバダ州ラスベガス)
5階級制覇王者メイウェザーが不敗のままリングを去った。ラストマッチと公言していた試合でWBA暫定王者ベルトの攻撃を空転させ、ジャッジ1人がフルマークをつける大差の3―0判定勝ち。試合直後にリング上で現役引退を表明した。49戦全勝は伝説の元世界ヘビー級王者ロッキー・マルシアノ(米国)に並ぶ記録。KOより防御重視のスタイルを批判されながらも、20年のプロ生活で“パーフェクトレコード”を守り抜いた。
最終12回。残り10秒を知らせる合図が鳴ると、メイウェザーは戦うのをやめ、左腕を突き上げてリング上を回りだした。現役引退を告げるゴングの後はリングでひざまずき、神に感謝。インタビューで9回に左手を痛めたことを問われると「少しぐらい痛くても構わない。これで俺のキャリアは終わりだから。正式に終わった」と引退を表明した。引退を撤回した過去があるだけに、インタビュアーは現役続行を疑ったが、「もうすぐ40歳だし、今が潮時。全て成し遂げ、これ以上やることはない」と断言した。
防御重視の戦い方はラストマッチでも変わりなかった。愚直に突っ込んでくるベルトをジャブであしらい、華麗なフットワークと体さばきでパンチをかわすとボディー、アッパーとカウンターをヒット。序盤こそKOへの色気をのぞかせたが、徐々に普段のスタイルへ移行した。場内からのブーイングにも笑みをこぼし、10回には相手を挑発してレフェリーから注意を受けるなど、“悪役”に徹して49度目となる勝者のコールを聞いた。
5月に元6階級制覇王者パッキャオとの「世紀の対決」を制した。デラホーヤ、ガッティ、マルケスらを次々と破り、スーパーフェザー級からスーパーウエルター級までの5階級を制覇。パッキャオ戦で2億3000万ドル(約276億円)と言われるファイトマネーを手にし、米経済誌発表のスポーツ選手長者番付では14、15年と2年連続1位になった。退屈な試合内容、素行の悪さ、「マネー」と呼ばれる金の亡者ぶりで批判を集めてきたが、戦績はロッキー・マルシアノに並ぶ49戦全勝。“史上最高のボクサー”としてグローブをつるす。
「俺はボクシングの一部となった」。誇らしげに宣言したものの、「いつか次のメイウェザーが出てきて、破ってくれればいい」と記録には執着を見せなかった。
▼ベルト 経験の差が勝敗を分けた。メイウェザーは捉えにくく、リズムを狂わされた。限界まで追い詰めたが、あと一歩及ばなかった。
◆フロイド・メイウェザー・ジュニア 1977年2月24日、米ミシガン州生まれの38歳。父フロイド・シニアは世界ランカー、叔父ロジャーは元世界王者。96年アトランタ五輪フェザー級銅メダルなどアマ84勝6敗。同年10月にプロデビューし、98年のWBCスーパーフェザー級から5階級を制覇。08年6月に引退を宣言したが、撤回して09年6月に復帰した。内縁の妻への暴行で繰り返し起訴され、10年には暴行罪で逮捕された。右ボクサーファイター。身長1メートル73、リーチ1メートル83。
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