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高山 日本人初3団体制覇!完全アウェーも快勝

[ 2013年4月1日 06:00 ]

メキシコで王座を奪取した高山勝成(大阪天神ジム・山口賢一会長提供)

 グアサベの奇跡だ!プロボクシングのIBF世界ミニマム級タイトルマッチが30日、メキシコ・グアサベで行われ、同級6位の高山勝成(29=フリー)が王者のマリオ・ロドリゲス(24=メキシコ)を3―0の判定で破り、王座を奪取した。高山はWBC王座、WBA暫定王座に続く戴冠で、世界の主要4団体のうち3団体を制覇したのは日本選手で初めて。海外挑戦での日本選手の世界王座奪取は、92年の平仲明信以来、21年ぶりの快挙となった。

 野球場の特設リングが悲鳴と大ブーイングに包まれた。地元王者の関係者とおぼしき女性がリングに乱入し、新王者に殴りかかろうとするハプニングも起きた。高山が完全アウェーのメキシコで判定勝ち。日本選手では21年ぶりとなる海外での世界王座奪取となった。

 「国内初めての3団体制覇。歴史的な結果。これからの若いボクサーに夢を与えられる結果になりました」。“必勝”の鉢巻きを巻いた支援者に肩車されると、顔をくちゃくちゃにして喜んだ。

 得意のアウトボクシングで試合を支配した。3回に左フックでダウンを喫したが、冷静さを失わなかった。中出博啓トレーナーは「俺が無理に“行け!”と言って倒されたが、その後も足を使って“らしさ”を出せた」と慌てなかった高山を称えた。判定は1人が2点差だが、残りは10、6点差という完勝だった。

 3つのジムを渡り歩いた末、09年に日本ボクシングコミッション(JBC)に引退届を提出。当時、JBCが加盟していなかったIBF王座に挑戦するためだった。JBC傘下から飛び出したため、練習環境に苦労した。駐車場でシャドーやサーキットトレに汗を流し、樹木を当時の王者ヌコシナチ・ジョイに見立てて寸止めのパンチを打つ練習を続けた。同志の山口賢一が日本ボクシング協会に加盟しないジムを11年秋に大阪市内で開いたことで、国内に練習拠点を確保。今回の勝利につながった。

 出発前にはWBA同級王者・宮崎亮(井岡)との統一戦の夢などを語っていたが、悲願だった3団体目の王座を獲得すると「まだ考えられない。今はゆっくり休みたい」と話した。JBCは1日付でIBFに加盟する。“快挙男”は日本ボクシング界を盛り上げる存在に急浮上した。

 ◆高山 勝成(たかやま・かつなり)1983年(昭58)5月12日生まれ、大阪市出身の29歳。エディタウンゼントジムでボクシングを始め、00年10月プロデビュー。グリーンツダ所属の05年4月にWBC世界ミニマム級王座を獲得。06年11月にWBA世界ミニマム級暫定王座決定戦を制し、2団体制覇を達成。07年4月に統一戦で敗れ、真正ジムへ移籍。09年11月にJBCへ引退届を提出し、現在は海外を中心に活動する。戦績は25勝(10KO)6敗1無効試合。1メートル58、右ボクサー。

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