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異色対決!元ラガーマンVS戦国武将の末裔

[ 2010年3月9日 06:00 ]

4月の吉田秀彦引退興行の前座を務める元ラガーマンの長倉(右)と小見川

 花園Vの元ラガーマンが、戦国武将・毛利元就の末裔(まつえい)を相手にメジャーデビューを果たす。吉田秀彦引退興行「ASTRA」(4月25日、日本武道館)の前座2カードが発表され、大阪・啓光学園(現常翔啓光学園)で02年度全国高校ラグビー大会優勝メンバーの長倉立尚(25=吉田道場)は、毛利昭彦(34=毛利道場)と対戦することが決まった。総合格闘技8戦全勝8KOの“秒殺男”が吉田引退の花道を盛り上げる。

 不敵な笑みだった。元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソンに似たゴツい顔をわずかに崩した長倉は「オヤジが凄いから子供も凄いわけじゃない。ましてや、もっと離れてる」とうそぶいた。毛利元就の末裔に全くひるむ様子はなかった。
 自身は新選組の永倉新八の末裔では?と振られても「信じていたけど漢字が違うなあ」と切り返すあたりは、メジャーデビュー前とは思えない風格。物おじしないハートの強さは、ラグビーの大舞台で培ったものだ。
 中2で始めたラグビーで全国制覇8度の名門・啓光学園に入った。3年でフランカーのレギュラーを獲得。02年度の花園では東福岡との決勝で先制トライを奪うなど、2連覇メンバーの一員として活躍し、戦後初の4連覇の一翼を担った。
 「ラグビーと格闘技の緊張感は全然違う」と言うものの「個人競技の方が向いている」という資質は立命大卒業後にうずいた。就職したJTBを2カ月で辞め、足は自然と「戦いの最たるもの」という格闘技のジムに向かった。
 啓光学園で指導を受けた記虎敏和氏(現龍谷大監督)に相談すると「おまえらしい」と知人を通して吉田道場を紹介された。一般会員での入門だったが、全初回KOの8戦全勝8KOの快進撃。8戦目は3分28秒を要したが、それ以外は90秒以内で仕留める並はずれたパンチ力で、一気に大舞台に駆け上がった。
 16戦8勝7敗1分けの毛利にはキャリアで劣るが「寝技の選手。そういう相手にどんなパフォーマンスを見せられるか楽しみ」と言う。永倉新八も元は長倉姓と言われる。吉田道場の「二番隊組長」が、西国の雄を池田屋ならぬ日本武道館で急襲する。

 ▼毛利昭彦 この試合からベストの階級(ライト級→フェザー級)に落として戦います。自分にとってここが始まりで、新たな真剣を抜く気持ちです。中国地方の侍の意地を懸けて大会を盛り上げます。

 ◆長倉 立尚(ながくら・たつなお)1984年(昭59)6月22日、大阪市生まれの25歳。最初は野球をしていたが、長吉西中でラグビーに転向。高校時代はオール大阪の代表にも選ばれた。啓光学園の同期にSO曽我部佳憲(早大―サントリー)らがいる。08年2月に上京し、吉田道場に入門。同年4月にアマとして総合格闘技の試合に初出場し、DEEPなどで活躍。09年10月にプロデビューした。1メートル70。

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2010年3月9日のニュース