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長谷川血染めV5!次は米進出だ

[ 2008年1月11日 06:00 ]

試合が終了し、マルドロット(手前)と笑顔で抱き合う長谷川

 ボクシングのダブル世界戦が10日、大阪府立体育会館で行われ、WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦は、長谷川穂積(27=真正)が5度目の防衛に成功し、バンタム級世界王座の国内最多防衛記録を更新した。同級1位の指名挑戦者シモーネ・マルドロット(29=イタリア)を大差の3―0の判定で退け、ファイティング原田(笹崎=現日本プロボクシング協会・原田政彦会長)と並んでいた防衛記録を塗り替えた。ジム移籍後初の試合に勝った日本のエースは、本格的に米国進出に乗り出す。

 山下会長の言葉が進撃の合図だった。「今から4回戦やぞ」。残り4回となった9回開始前、オープンスコアシステムで8回終了後に大量リードを知ったにもかかわらず、長谷川が前に出た。日本のエースに求められるのはKO防衛。大差の判定勝利ながら「自分のしたいボクシングができない。申し訳ない」と歯切れが悪かった。

 2回に右目上を切り、流血したことで試合プランの変更を余儀なくされた。偶然のバッティングでなく、パンチによるカットとレフェリーが判断。その場合、出血がひどいと切った選手のTKO負けになる。「また切ったら…」と中盤は消極的になった。だが「ポイントを取っても試合を止められたらおしまい」との危機感もあった。9回からのラッシュはそのためでもあった。

 「半分くらい悩んでいました」と振り返る07年は移籍騒動に揺れた。千里馬神戸ジムと衝突し、昨年5月に4度目の防衛成功後にブランクをつくった。出入りを禁じられ、野ざらしの公園を練習場にした。トレーナーだった山下会長が新設した真正ジムへの移籍が成立したのが昨年10月。ブランクに加え、移籍初戦の緊張もあった。

 毎試合、試合前にもらった山下会長の手紙に励まされてきた。「スタッフがサポートするから、心配せずにやれ」。その会長への恩返しの意味でもKOしたかったが、ダウンすら奪えなかった。「試合間隔の長さが響いた」。そう反省したものの、これでいよいよ念願の米国進出へ動きだすことになる。新たなジムで国内新記録を樹立した安定王者。だが、長谷川の夢はまだスタートラインに立ったばかりだ。

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2008年1月11日のニュース