栗山英樹氏 日本ハムCBO就任!球団運営&GM業務“二刀流”

[ 2023年12月27日 06:00 ]

チーフ・ベースボール・オフィサーに就任しクラークポーズを決める栗山CBO(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハムは26日、前監督の栗山英樹氏(62)が1月1日付で「チーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)」に就任すると発表した。CBOは来年、創設50周年を迎える球団の基盤強化・発展とチーム編成強化を推進するために新設されたポスト。球団運営とチーム編成を担い、事実上の球団最高責任者となる。初代球団社長を務めた名将・三原脩氏と同じ道を歩み、3月のWBCで侍ジャパンを世界一へ導いた手腕を、CBOとして発揮する。

 新たな役職「チーフ・ベースボール・オフィサー」は訳せば「最高野球責任者」になる。球団が新設したポスト。担うのは球団運営とチーム編成全般で、事実上の球団トップとなる。エスコンフィールド北海道が今年3月に開業し、来年創設50周年を迎える球団で新時代のかじ取りを任されることになった。

 「大国を治むるは小鮮(小さな魚)を烹(煮)るが如(ごと)くす」――。栗山CBOは、いつも心に大事にする老子の言葉で大役に向かう覚悟を表した。「小魚を煮るとき、むやみにかき回すと身が崩れるので、そっと様子を見守る必要がある。政治とはそういうもの」という意味の言葉。「少し時間をかけて見て、自分の反省も含めて掘り起こし、何が必要か何が不必要かを把握する。準備ができたら一気に動く。まず1年間じっくり見る」とした。

 21年の監督退任後はプロフェッサーとして若手選手の教育に当たってきたが、CBOの役目は多岐にわたる。吉村浩チーム統轄本部長は「野球に関しては最高責任者」と位置づけ、球団運営についても「これだけの知識がある方なので意見も言うし、関与していく」と説明。編成面では2軍監督に就任した稲葉篤紀前GMの後任が不在で、GM職も担うことになる。初仕事は来年1月8日のスカウト会議からの予定。栗山CBOは「今はまず環境、スカウティング、育成をやっていかなければいけないので」と話し、アマチュア野球の現場にも「徹底的に自分の足を使うことが大事になる」と積極的に足を運ぶことになる。

 尊敬してやまない名将・三原脩氏は通算27年監督を務めた後、73年オフに日本ハムの初代球団社長に就任。積極的に体質改善を図ってチームの礎をつくった。その「三原イズム」も継承する。日本ハム、侍ジャパン監督として、三原氏の残した野球ノートから学んだ人の生かし方、育て方、組織論を今度は球団フロントで生かしていく。

 「多くの人が愛してくれるチームをつくるにはどうしたらいいか。そこへ向かってやっていきます」。世界一の球団づくりへ、栗山CBOが、大きな一歩を踏み出す。(秋村 誠人)

 ▽大リーグのCBO 最も有名なのはMLB機構のCBOを務めたジョー・トーリ氏。ヤンキースを4度の世界一に導いた名将は11年にMLB機構の副社長に就任すると、14年には肩書をCBOに変えて、多方面で手腕を発揮した。役割は多岐にわたり、MLBの運営、ルール改正、規律などグラウンド上の運営、審判部の統括など。コミッショナー事務局と30球団の連絡役も務め、在任中の17年WBCでは米国代表のGMを担った。20年2月に同職を退き、現在はコミッショナー特別補佐。

 ◇栗山 英樹(くりやま・ひでき)1961年(昭36)4月26日生まれ、東京都出身の62歳。創価高から東京学芸大を経て、83年ドラフト外で内野手としてヤクルト入団。2年目に外野手に転向し、89年にゴールデングラブ賞を獲得。90年に現役引退。通算494試合で打率.279、7本塁打、67打点、23盗塁。スポーツキャスター、白鴎大教授などを務め、12~21年に日本ハム監督。監督通算1410試合684勝672敗54分け。21年11月に侍ジャパン監督に就任し、今年3月のWBCで3大会ぶりの優勝に導いた。

 ≪キャスター、教授…監督業以外で培った“知恵”が大きな武器に≫90年にヤクルトで現役引退してから33年を経て、栗山CBOが培ってきたものが生かされる時が来た。特に取材者(スポーツキャスター)として広く深く知識を得た21年間は極めて貴重な経験だ。

 プロ野球を中心に全国を飛び回る中、グラウンド以外での取材も見逃せない。大リーグの取材では「100回以上向こう(米国)へ行った」と言い、メジャーリーガーだけでなく、多くのGMたちに話を聞いた。学んだのは、そのシステムではなく「何がチームのためになるのかという考え方」だった。役割分担を明確にする日本式とは違う。組織を機能させるにはどうすべきかを肌で感じた。

 教育者としても、複数の大学で教壇に立った。白鴎大経営学部では教授(現在は休職扱い)として「スポーツ産業論」を担当。学生たちに教えることで人の育て方、生かし方を学んだ。また、03年から高校球児を対象としたシンポジウム「夢の向こうに」でパネリストを務め、09年には高野連の許可を得て元プロ野球選手として初めて高校野球を取材。アマ球界との太いパイプも、GMの役割を担う上で大きな財産だ。

 日本ハム、侍ジャパンでの監督経験では得られない知恵。それが栗山CBOの大きな武器になるのは確かだ。

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