日本ハム・矢沢 鮮烈投手デビュー1回2K完全 大谷とは違う「救援との両立」目指す新たなる二刀流第一歩

[ 2023年5月22日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム4-10オリックス ( 2023年5月21日    京セラD )

<オ・日>プロ初登板を果たした矢沢(撮影・奥 調)
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 背番号12がベンチ奥からマウンドに向かった。「ピッチャー・矢沢」。敵地・京セラドームでも、日本ハムの投手交代のアナウンスに起きた拍手。ドラフト1位左腕の二刀流のプロ初登板に、3万1148人の視線がくぎ付けになった。

 4―10の8回に登板。ポーカーフェースで腕を振った。「投手は試合の流れに左右されてはいけない」。先頭の宜保を外角スライダーで一ゴロに抑えると、続く代打・広岡は低めスライダーで空振り三振。最後は茶野を外角低めスライダーで、空振り三振に仕留めた。13球で打者3人から2三振を奪って3者凡退。最速148キロの直球とスライダーを主体で封じ「ゼロで帰ってこられたので良かった。内容は出来過ぎた方かな」と振り返った。

 この日は投手のみの出場だったが、プロ1年目に投手と野手での出場は、13年の大谷(現エンゼルス)以来。先発の大谷は登板日に合わせて調整できたが、新二刀流の登板は現状では救援で展開次第となる。球団は主に野手で調整させながら1カードに1度ブルペン入りを行い、「登板可能日」を設けるなど、前例のない挑戦を慎重に進め、今季42試合目で初登板が実現した。

 ルーキーの好投に新庄監督も「今日の投球を見たら、緊張する場面でどういう投球をしてくれるか」と今後は勝ちパターンでの起用を示唆した。「どんな形でも投手としても野手としてもチームに貢献できれば」と矢沢。最終戦で敗れた奇抜な“ヒーローユニ”は5勝3敗、今季初の同一カード3連勝は逃したが、期待の二刀流が新たな一歩を踏み出した。(清藤 駿太)

 ▽13年の大谷のプロ1年目 3月29日の開幕戦・西武戦(西武ドーム)に「8番・右翼」で出場し4打数2安打。高卒新人が野手で開幕戦に先発出場するのは日本ハムでは東映時代の59年張本勲(スポニチ本紙評論家)以来54年ぶりだった。投手では5月23日のヤクルト戦(札幌ドーム)で初登板初先発し5回6安打2失点で勝敗つかず。打者で77試合出場し打率.238、3本塁打、20打点。投手では13試合(先発11試合)で3勝0敗、防御率4.23だった。

 【プロ入り後の投手・矢沢の歩み】

 ▼23年1月15日 千葉・鎌ケ谷の2軍施設でプロ入り後初のブルペン入り。捕手を立たせて30球。その後は打撃練習。

 ▼2月3日 沖縄・名護での春季キャンプで初ブルペン。直球など5球種、38球を投げた。

 ▼同16日 ライブBP(実戦形式の打撃練習)に初登板。25球中、安打性は0本。

 ▼同21日 中日との練習試合前にブルペン入りし、7回に代打出場。投手調整から野手での実戦出場は初だった。

 ▼同23日 ロッテとの練習試合の7回に5番手として実戦デビューし、1イニングを1安打1失点(自責0)。

 ▼3月14日 西武とのオープン戦の5回に代打出場。7回までは右翼の守備に就き、8回から登板。1イニングを13球、1奪三振1四球無失点。新球場こけら落としで「三刀流」を務めた。

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