金子千尋 万感の引退会見「一瞬とも思える18年間」 今後は日本ハム特命コーチで「第2の金子」育てる

[ 2022年12月24日 06:00 ]

引退会見で話す金子(撮影・高橋茂夫)
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 家族への感謝を口にした瞬間だった。マウンドと同様にポーカーフェースを貫いていた前日本ハム・金子が言葉を詰まらせた。札幌市内のホテルで行われた引退会見。目に涙を浮かべ「長いような、一瞬とも思える18年間だった。プロ野球人生で出会った方が一人でも欠けたらたぶんここにはいない」と感謝の言葉をつないだ。

 トヨタ自動車から04年ドラフトの自由獲得枠でオリックスに入団。14年には16勝5敗で沢村賞にも輝くなど一時代を築いた。19年から日本ハムでプレーも若手の台頭もあって昨季は8試合に終わり、今季も3試合で1勝2敗で自由契約に。コーチ就任の打診を保留して現役続行の道を探ったが他球団から声はかからず、数日前に引退を決断した。

 来年から「特命コーチ」となり、野球人生の第2幕をスタートさせる。来年2月から半年間、球団と提携するレンジャーズにコーチ留学する予定。米球界の最先端の動作解析やデータを取り入れたコーチングを学ぶ意向で「根拠のない指導はしたくない。最先端の技術やデータを取り入れたコーチングを勉強したい」と言葉に力を込め「スケールの大きい選手を一人でも多く育てたい」と見据える。

 日本ハムでの3年間、指導を受けた栗山前監督(現侍ジャパン監督)には電話で報告した。入団の際に熱い言葉をもらったそうで「栗山監督の言葉がなければ、ファイターズに入ることはなかった」と感謝する。決して恵まれた体格ではないが抜群の制球力を武器に通算130勝を挙げた39歳が、「第2の金子」を育てる旅に出る。(清藤 駿太)

 《異例の生配信》金子の引退会見は球団公式YouTubeで異例の生配信された。前日に自身のツイッターでも告知しており「録画ではなくリアルな僕の声を多くの方々に聞いてもらいたかった」と理由を明かした。会見の最後には花束贈呈のため公私で仲の良い上沢、加藤貴が登場。上沢から「選手とコーチになるが、今まで通り私生活でもご指導もらえるか?」と質問されると「しっかり線引きして、びしびし伝えたい」と冗談交じりに返した。

 ◇金子 千尋(かねこ・ちひろ)1983年(昭58)11月8日生まれ、新潟県出身の39歳。長野商では2年春に甲子園出場。トヨタ自動車を経て、04年に自由獲得枠でオリックス入団。14年に最多勝&最優秀防御率の2冠に輝き、沢村賞とリーグMVPを受賞。18年オフに日本ハムに移籍した。1メートル80、77キロ。右投げ左打ち。

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