日本ハム金子千尋が涙 18年間の現役生活に幕「今シーズンをもちまして現役生活を引退することに決めた」

[ 2022年12月23日 14:03 ]

<日本ハム>引退会見で話す金子(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハムの金子千尋投手(39)が23日、札幌市内のホテルで会見を行い、今季限りで現役を引退することを表明した。

 スーツ姿に黒縁眼鏡で会見場へ。「きょう、皆様にお伝えしたいことがあります。今シーズンを持ちまして現役生活を引退することに決めました」と話した。18年間のプロ生活でともに戦った9人の監督、さらに体のケア、トレーニングをしてくれたスタッフ、熱い応援を送ってくれたファンに感謝を表現した。

 両親、家族への感謝を口にすると、もう感情は抑えられなかった。「僕の野球人生で一番長く応援してくれているのは両親と思います。ここまでできたのは両親が僕を生んでくれて、僕に野球をやらせてくれたおかげと思っています。初めて両親に向かって、感謝を言いたいと思います」と話すと、目には光るものが浮かぶ。家族に向け「どんな時も僕の味方でいてくれて、つらいこともたくさんあったし、迷惑もたくさんかけてしまったと思います。それでもいつも温かく家から送り出してくれてた妻、家族…」とつないだが、感情があふれ出て、そのあとの言葉はなかなか出てこない。「その支えがなかったら本当に、今の僕はいません。負けて帰ってきたときも明るく迎えてくれたことに、本当に助けられてここまでやってこれました」と万感の思いで話した。

 プロ18年目の今季はわずか3試合の登板にとどまり1勝2敗、防御率4・85。今季終了後に球団からのコーチ就任の打診を断り、現役続行を目指して自由契約となったが、希望するNPB球団からのオファーは届かなかった。前日22日に自身のツイッターを更新し「金子千尋は明日12/23(金)14:00より会見をさせていただきます!」と告知しており、会見の様子は球団公式YouTubeでも生配信された。

 移籍初年度の2019年には8勝をマークし、翌20年には主に中継ぎで34試合に登板。ただ21年からは若手の台頭もあり、21年は8試合、今季は3試合と出番を減らしていた。今季終了後に球団からコーチ就任を要請されたが、現役続行の意思が強く、退団。各球団の編成が固まる9日の現役ドラフト後を判断の目安時期としていたが、NPB球団からオファーは届かなかった。

 抜群の制球力と多彩な変化球を武器に通算130勝を記録。プロ18年間で優勝を経験することはできなかったが、オリックスのエースだった14年には最多勝と最優秀防御率の2冠に輝き、沢村賞、MVPなどを獲得。移籍した日本ハムでは、後輩に調整法や変化球を伝授するなど自身の経験を惜しみなく伝え、手本となってきた。持ち味の投球術で球界を盛り上げた個性派右腕が、惜しまれつつ現役生活に幕を下ろす。


 ◇金子 千尋(かねこ・ちひろ)1983年(昭58)11月8日生まれ、新潟県出身の39歳。長野商では2年春に甲子園出場。トヨタ自動車を経て、04年ドラフト自由獲得枠でオリックス入団。14年に最多勝&最優秀防御率の2冠に輝き、沢村賞とリーグMVPを受賞した。18年オフに減額制限を超える減俸を提示され、自由契約となり日本ハムに移籍。19~21年の登録名は「金子弌大」。1メートル80、77キロ。右投げ左打ち。

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