【22年ドラフト下位指名】日本ハム・ドラ6宮内春輝 「東北の林昌勇」1年目からフル回転だ

[ 2022年12月13日 06:00 ]

指名あいさつ後、新球場のペナントを手に笑顔を見せた宮内(中央、右は大渕隆GM補佐兼スカウト部長、左は白井康勝スカウト)
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 しなやかなサイドスローから繰り出す、最速152キロの直球がうなりを上げる。日本ハムから6位指名を受けた宮内春輝投手(26)は、社会人野球4年目のシーズンで念願のドラフト指名を勝ち取った。遅咲きだった「東北の林昌勇(イムチャンヨン)」がついに覚醒。プロでは、1年目から救援投手としてフル回転の活躍が期待される。

 大卒の社会人選手は、2年目からNPBのドラフト指名が解禁となる。つまり最短で24歳の年。明星大から日本製紙石巻入りした宮内は今年、4年目を迎えて26歳になっていた。プロ入りの年齢は高い方となったが、横手右腕にはこのタイミングだった。夏の都市対抗予選で140キロ台後半の直球を連発。覚醒した男に、初めてプロ球団からの調査書が届いた。最終的に3球団が宮内の獲得を狙っていた。

 「夢のプロ入りは半分諦めていました。このまま社会人野球を続けると思っていた。調査書が来て多少はプロを意識しましたね」

 プロ解禁の24歳時は最速146キロだった直球。今年は夏場でもウエートトレーニングを続けたことで、体重を落とさず自己最速の152キロを計測するまでに出力を高めた。ネット裏にスカウトが視察に訪れるようになっても「意識しないで自分のピッチングができた。昔に比べて落ち着いて野球ができるようになった」と経験を生かした投球でアピール。ドラフト当日の10月20日、人生で初めて指名を待った。

 午後5時にスタートしたドラフト会議。1位のテレビ中継を見終わった宮内は入浴して気を静めた。気持ちを新たにスマホで指名速報に目を通しても「宮内春輝」の名は一向に表示されない。そして巨人の5位指名で同じ社会人のサイド右腕・船迫大雅(西濃運輸)が指名された。宮内に興味を示していた球団だっただけに「1個消えた」と焦燥感が襲った。だが日本ハムの支配下最終指名となった6位で、ついに名が呼ばれた。ラストチャンスをつかんだ男は「やっとホッとしました」と寮の自室で安堵(あんど)した。

 遅咲きで挑むプロは即戦力の活躍が期待される。「力がつくまでに必要な4年間だったと思います」とこれまでの道のりを誇りにしている。横手から剛球を繰り出すことから「東北の林昌勇」の異名を持った男が「日本ハムの宮内春輝」になる。(柳内 遼平)

 ◇宮内 春輝(みやうち・はるき)1996年(平8)5月25日生まれ、千葉県旭市出身の26歳。吉田小2年時に吉田スポーツ少年団で野球を始める。八日市場二中時代は九十九シニアに所属。多古(千葉)時代は甲子園経験なし。明星大を経て日本製紙石巻でプレー。遠投115メートル。50メートル走6秒1。1メートル76、75キロ。右投げ右打ち。

 ▽日本製紙石巻の次のドラフト候補 来年のドラフトで指名が解禁となる最速152キロ右腕・秋田稜吾投手(23)は、先輩に続くプロ入りを誓った。1メートル80から投げ下ろす本格派。縦に鋭く落ちるスライダー、シンカー気味に落ちるツーシームで投球を組み立てる先発投手だ。今年の都市対抗にはJR東日本東北の補強選手として出場。2回戦のJR東日本(東京)戦で「東京ドームデビュー」を果たし、150キロを計測した直球を軸に2回を無失点に封じた。中部学院大から加わって2年目となる来季に向けて「9回を投げきって勝てる投手を目指したい」と意気込んだ。

 ≪ヤクルトの抑えとして128セーブ≫
▽林昌勇 韓国出身のサイド右腕で、韓国プロ野球、NPB、大リーグでもプレーした。日本では08年にヤクルト入りし抑えとして5年間で238試合11勝13敗、128セーブ、防御率2.09をマーク。韓国では通算258セーブを挙げた。韓国代表として出場した09年WBCでは、決勝の日本戦でイチローに決勝点となる2点適時打を浴びた。

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