広島が大瀬良で「再奪首」 7回無失点のエースが今季初勝利 右肘手術からの完全復活だ

[ 2021年4月3日 05:30 ]

セ・リーグ   広島4ー0DeNA ( 2021年4月2日    横浜スタジアム )

<D・広>スタンドに手を振る広島・大瀬良(撮影・篠原岳夫)
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 広島・大瀬良大地投手(29)が2日のDeNA戦で昨年8月22日の巨人戦以来、223日ぶりの白星をつかんだ。昨秋の右肘手術から復帰2戦目で、7回まで二塁を踏ませず散発3安打無失点の快投だった。打っては松山竜平外野手(35)が開幕戦の失策を取り返す3安打3打点。巨人、阪神が敗れたため、一日で首位に再浮上した。

 「肩書が付き、ケガ明けで、いろんな要素が絡む特別な1年」に、完全復調を印象づける確かな一歩を踏み出した。わずか76球、無四球で7回を散発3安打零封し、二塁すら踏ませない圧巻の投球。大瀬良は昨年8月22日の巨人戦以来、223日ぶりの美酒に酔いしれた。

 「まずは一つ勝ててホッとしました。いろんな思いを持って今季に臨んだので。この1勝は支えてくれた皆さんにささげたい」

 力のある直球で左打者の内懐をえぐり、十八番のカットボールで右打者を翻弄(ほんろう)した。中盤からはカーブを多用して打者を幻惑。7回1死一塁では宮崎を高めのスライダーで三ゴロ併殺に仕留めるなど、全球種が決め球になった。

 「あの時はめった打ちされた。でも、今のボールは違う。残像が残っているなら、見せつけてやろう…と」

 右肘痛による昨季の2度の離脱は、いずれもDeNA戦の苦投が契機だった。7月25日に横浜で、9月5日には本拠地で。本来の球威を欠き、痛打を浴びた。広島の大黒柱。責任がある。決死の覚悟で投げ続けたものの、懸命な治療及ばず患部は悲鳴を上げた。

 「逆に割り切れました。腹をくくり、これでダメなら仕方がないというぐらいの覚悟で投げていたので…」

 今季からは投手キャプテン。その肩書が付く前から行動で気概を示してきた。「血眼になって取り組んだ」術後のリハビリ、そして厳しい練習。全ては「特別な1年」に「成績を残して恩返しする」ためだ。復活への一歩はDeNA戦でこそふさわしい。

 「いい形で、いい成績で戻るのが理想。それだけのことはやってきた。優勝に導き、日本一になることが最大の恩返しになると思うので頑張ります」

 栗林から手渡されたウイニングボールは真由夫人に贈るという。「いろんな僕をずっと近くで見てくれているので」。ストイックに身を律し、感謝の思いを1球に込めて、大瀬良大地は投げる。痛快な復活劇が始まる。
 (江尾 卓也)

 ▼広島・佐々岡監督(大瀬良の7回交代について)前回は8回で(変調)というのがあったので、今日は7回メドと思っていた。球数少なく、しっかり投げてくれた。ボール自体が強い。ナイスピッチングだった。

 <右肘手術からの歩み>

 ▽20年9月5日 DeNA戦先発で4回途中8失点KO。翌6日にシーズン2度目の登録抹消。

 ▽同16日 「右肘関節鏡視下遊離体摘出・骨棘(こっきょく)・滑膜切除」の手術を受けたことを球団が発表。

 ▽21年1月22日 大野練習場で術後初の投球練習。直球のみ22球。

 ▽2月14日 日南の2軍キャンプでフリー打撃に初登板。

 ▽同20日 沖縄の1軍キャンプに合流。ブルペンで投球練習30球。

 ▽同28日 日本ハム練習試合で初実戦に臨み、3回無失点。佐々岡監督から開幕投手の正式通達。

 ▽3月6日 オープン戦初登板で、ヤクルトを4回無失点。

 ▽同19日 ソフトバンク戦で開幕前の最終登板。今春最長の6回を投げ、対外4試合18回無失点で終了。

 ▽同26日 中日との開幕戦。7回まで3安打無失点、8回につかまり4失点で途中降板。3年連続の開幕戦勝利投手を逃す。

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