オリックス・増井 1467日ぶり先発勝利 かつては断った先発転向 「恩を何倍にもして返したい」

[ 2020年10月1日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス5-0西武 ( 2020年9月30日    京セラドーム )

<オ・西(20)>ウイニングボールを受け取り、捕手・松井雅にグータッチする増井浩俊(撮影・井垣 忠夫)
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 9回を締めた漆原から記念球を受け取り、ヒーローインタビューに立ったオリックス・増井の声は震えていた。6回2安打無失点で日本ハム時代の16年9月24日の楽天戦以来1467日ぶりの先発勝利。03年以来17年ぶりの5カード連続勝ち越しに導くダブルの歓喜に、感情が高ぶった。

 「救援から先発に投げる場所を与えてもらい、何とかチームを勝たせたい思いでした」

 今季3度目の真っさらなマウンドで輝きを取り戻した。ハイライトは5回2死一、二塁でスパンジェンバーグと対峙(たいじ)した場面。フォークと直球の2球で追い込むと、高め145キロ直球で空振り三振。真っ向勝負で西武打線の逆襲気配を断ち切った。

 こだわりを捨てた。17年オフに国内FA権を行使し日本ハムからオリックス入り。決断の決め手が起用法だった。交渉の席で当時監督だった福良GMらの「クローザー一本で」という言葉が刺さった。過去に「先発より最後の1回、“ヤバいかも”っていう緊張感で投げるのが好きなんです」と話したこともあった。積み上げた157ホールド、163セーブの自負もあった。昨季途中から不振で守護神をはく奪。複数回にわたって打診されても断り続けた先発転向を受け入れたのは「恩を何倍にもして返したい」気持ちからだった。

 中嶋監督代行は就任から17勝16敗2分けとし、8月26日以来の“貯金1”。5位・日本ハムとは5・5差で、7月28日から続く最下位脱出も現実味を帯びてきた。「先を考えず目の前の試合を勝っていこうというつながりだと思う」。最後まで波乱を演出しそうな勢いだ。(湯澤 涼)

 《8月26日以来の貯金1》中嶋監督代行(オ)が8月21日に西村監督から指揮を引き継いで以降は35試合で17勝16敗2分けの勝率・515。9月14日の最大借金6から盛り返し、8月26日以来30試合ぶりの「貯金1」とした。9月15~17日の楽天戦からは5カード連続の勝ち越し。03年7月に5カード連続で勝ち越して以来17年ぶりで、前回もシーズン中の4月23日に石毛監督が成績不振から解任。後任のレオン監督の下での快進撃は及ばず、シーズンは最下位だった。

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