“まだ35歳”広島・長野 全12球団本塁打を菅野から達成 例年にない走り込みが土台に

[ 2020年9月23日 05:30 ]

セ・リーグ   広島4-5巨人 ( 2020年9月22日    東京D )

<巨・広14>4回2死一、三塁、長野が3ランを放ちベンチに迎えられる(撮影・篠原岳夫)
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 広島・長野久義外野手(35)が22日、古巣の巨人戦(東京ドーム)で史上39人目となる全12球団からの本塁打を達成した。2点を追う4回に巨人のエース・菅野から左中間へ球団通算8500号となる5号逆転3ラン。9回に松山の同点打で追い付いた試合は、その裏、フランスアが自身のけん制悪送球から決勝点を献上し、今季6度目のサヨナラ負け。連敗は3に伸び、今季最多の借金11に膨らんだ。

 2点を追う4回、2死から鈴木誠、松山の連打で築いた一、三塁の好機。ボール球のスライダーを2球見逃した長野は、外寄りに甘く入った3球目の同じ変化球を打ち損じてファウルし、悔しげな表情を一瞬のぞかせた。その直後だった。

 巨人バッテリーは続く4球目もスライダーを選択。コースは同じ外寄りで、3球目よりわずかに高く浮いた137キロを、巧打者が見逃すはずもない。

 「2死から誠也と松山が好機をつくってくれたので、還すことができてよかったです」

 鮮やかな放物線を描いた打球は、18年まで本拠地だった東京ドームの左中間席へ着弾した。6日のDeNA戦以来、13試合ぶりの5号逆転3ラン。価値は、その一点にとどまらない。この試合が初対戦ながらも難攻不落の菅野を打ち砕いた一撃は、古巣・巨人相手にかけた初アーチとなり、プロ野球39人目の全12球団本塁打を達成。球団通算8500号のメモリアル弾にもなった。

 移籍2年目。熟成期を迎える中、大盛ら台頭するニューウエーブの波にあらがい、要所で仕事をこなす姿が頼もしい。今春の沖縄キャンプでは「まだ35歳という気持ち。ベテランと呼ばないで」と宣言。不完全燃焼に終わった昨季を反省し、例年にない量の走り込みを自らに課した成果だった。

 「相手が菅野。なかなか点が取れないという状況で長野が逆転3ランを打ち、そのまま逃げ切れたら一番だったんだけどね…」。佐々岡監督は巧打者を称えつつ、サヨナラ負けを喫した結末に声のトーンを落とした。

 「チームが勝てれば良かったけどね。また明日から一戦一戦、頑張ります」

 メモリアル弾が勝利に結びつかない厳しい現実。経験豊富な長野は、それでも若いナインを諭すように前を向く。菅野の開幕12連勝を阻止しようと、バットに意地を込めた35歳の奮闘。さらには同点に追い付いた9回の粘り腰。懸命な姿はいつかきっと実を結ぶ。 (江尾 卓也)

 《広島在籍時の達成は2人目》長野(広)が古巣の巨人戦で初の本塁打を放ち、現12球団すべてから本塁打を記録した。全12球団本塁打は7月22日オリックス戦でロメロ(楽)が達成して以来プロ野球39人目。うち、広島在籍時の達成は09年石井琢朗に次ぎ2人目。巨人を相手に達成したのは、81年富田勝(中)、07年ローズ(オ)、10年二岡智宏(日)に次ぎ10年ぶり4人目となった。なお、長野の一発でチームの本塁打が8500号に到達。通算8500本塁打は史上6球団目。初本塁打は50年3月16日の中日戦で白石勝巳が記録。

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