ブルージェイズ 山口を2年6・9億円で獲得 「スイングマン」として期待

[ 2019年12月29日 05:30 ]

ブルージェイズが獲得を発表した山口

 ブルージェイズが27日(日本時間28日)、巨人の山口俊投手(32)の獲得を発表した。球団公式サイトが伝えた。2年総額635万ドル(約6億9000万円)で、各年最大で140万ドル(約1億5000万円)の出来高が付く。巨人選手のポスティングシステムによるメジャー移籍は初。同サイトは先発も救援もできる万能型を意味する「スイングマン」として期待を寄せた。

 米メディアが相次いでブルージェイズが山口と契約を結んだことを報じた。17日の契約合意報道から10日。メディカルチェックを無事に通過し、年内決着を迎えた。

 この日、第一報を伝えた全国紙「USAトゥデー」の看板記者ボブ・ナイチンゲール氏によると、契約は2年総額635万ドル。各年、投球回に応じた出来高もついているとみられ、170投球回をクリアすると最大140万ドル(約1億5000万円)を手にする。

 2年で最大915万ドル(約10億円)となるが、決して好条件の契約とは言えない。昨オフに同じポスティングシステムでマリナーズ入りした菊池の3年総額4300万ドル(約46億9000万円)と比べ1年平均で4分の1に満たない。高齢になれば契約さえままならなくなる傾向が強いメジャーでは、1年目から結果が求められることになりそうだ。

 それでも、横浜(現DeNA)時代の09年から4年連続で2桁セーブ、今季は15勝を挙げるなど日本で先発や抑えで実績を残した山口への期待は大きい。同サイトは「直球の速さではなく、フォークで知られる」と紹介し、メジャーで救援も先発もこなす「“スイングマン”としての役割が可能だ」と伝えた。ブ軍はドジャースからFAの左腕・柳賢振を獲得したが、先発、救援ともに駒不足は否めない。「オープナー」などの戦術を駆使する大リーグにおいて、山口の経験がチームに大きな弾力を生む。

 山口はメディカルチェック後に27日に自主トレ先の米ハワイから帰国。この日、取材対応こそなかったが、年の瀬にこれ以上ない吉報となった。

 <swingman>(すいんぐまん)先発も救援もこなす万能型の投手。主に中継ぎやロングリリーフをこなしながら、チーム状況によって先発を任される。バスケットボールではガードとフォワードの両方でプレーする選手の呼称。

 ≪筒香同じア・リーグ東地区≫山口のブルージェイズ入りが決定し、強豪ひしめくア・リーグ東地区に田中(ヤンキース)、今オフにDeNAからポスティング移籍した筒香(レイズ、写真)の3選手がそろった。ブ軍は今季67勝95敗の4位と低迷したが、ビシェット、ビジオ、ゲレロらの2世選手が台頭しており、ダークホース的存在。来季のヤ軍戦は来年4月2日(日本時間3日)、レ軍戦は同17日(同18日)を皮切りにそれぞれ計19試合を戦う。

 ▽ポスティングシステム 海外FA取得前にメジャー挑戦できる制度。日本の所属球団は11月1日から12月5日までの間に申請し、米30球団に通知された翌日から30日間、獲得希望の全球団と交渉できる。契約金、年俸、バイアウト(契約解除)額の総額が2500万ドル(約27億2500万円)以下の場合は、総額の20%が譲渡金となる。今回は2年総額635万ドル(約6億9000万円)の20%にあたる127万ドル(約1億4000万円)が、ブルージェイズから巨人に支払われる。本制度は18年11月1日から3年契約。

 ▽トロント・ブルージェイズ MLBで唯一、米国以外となるカナダ・トロントに本拠地を置いている球団。アメリカン・リーグ東地区に属する。77年のア・リーグ拡張に伴いシアトル・マリナーズとともに創立。地区優勝6度、ワールドシリーズ制覇は92、93年の2度。チーム名は北米に棲息し、トロントがあるオンタリオ州の州鳥の「アオカケス(ブルージェイ)」から取られた。過去に日本選手は大家友和(07年)、五十嵐亮太(12年)、川崎宗則(13~15年)、青木宣親(17年)が所属した。

 
 

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2019年12月29日のニュース