岩隈、マ軍と好条件で再契約 単年もローテ守れば最大3年55億円

[ 2015年12月19日 05:40 ]

マリナーズと再契約を結んだ岩隈

 マリナーズからフリーエージェント(FA)となった岩隈久志投手(34)が17日(日本時間18日)、マ軍と再契約を結んだ。今月上旬に3年契約で合意していたドジャースとの破談を日米メディアが一斉に報じてから、わずか13時間後の契約発表という激動の一日となった。1年契約だが、一定の条件を満たせば17、18年と契約が自動延長されるオプション付き。最大では3年総額4500万ドル(約55億円)前後に上り、ド軍と当初合意した契約額に匹敵する。

 ジェリー・ディポトGMの言葉に、マリナーズの球団職員らは歓喜の絶叫を止めなかった。「このことをツイートするのは45分間だけ待って。でも、岩隈久志がシアトルに戻ってくるぞ!!」。職員らの家族もそろった慰労会はお祭り騒ぎとなり、その後の日本時間午後2時すぎに球団公式アカウントから歓迎ぶりを伝える動画が配信された。

 3年総額4500万ドルで6日にドジャースと契約合意していた岩隈の破談が、日米一斉に報じられたのは、そのわずか13時間前。急転して岩隈との1年契約の発表に至った。18日(日本時間19日)には本拠地セーフコ・フィールドで再契約会見が行われる。

 「ここ数日でチャンスが巡ってきた。最初から岩隈との再契約が優先事項と言ってきた。チームにとって大きな加入だ」

 ディポトGMは喜びを隠さなかった。3年契約を提示したド軍に対し、マ軍は2年契約を譲らず争奪戦に敗れ、肩を落としていた。しかし、その後のド軍による身体検査で問題が見つかり、3年契約合意は破棄された。

 問題の詳細は明らかにされていないが、岩隈は昨季は右手中指痛で1カ月出遅れ。今季は右広背筋痛で2カ月離脱した。ただマ軍側は11月7日にクオリファイング・オファーを提示するまでに、自軍での身体検査は済ませていた。今季も7月に復帰後はローテーションを守り、8月にはノーヒットノーランも達成。20試合で9勝5敗、防御率3・54で最後まで問題なく投げ抜いていた。

 当初の2年の複数年契約ではなく、1年契約での残留には、慎重な姿勢も透けてみえる。それでも、投球回数などの成績に応じて17、18年と契約延長されていくオプション付き。来季の基本給は1000万ドル(約12億2000万円)以上とみられるが、出来高も含めると最大で3年4500万ドル前後に上り、ドジャースと合意していた条件に匹敵する。投球回数などの諸条件は、ケガなく1年間ローテーションを守り抜けばクリアできる基準に設定されているという。

 今季と変わらずエース・ヘルナンデスに続く先発2番手を任される。チームはディポトGMの改革の下、陣容が様変わりした。慣れ親しんだ環境下で、チームの01年以来15年ぶりのポストシーズン進出へ腕を振る。(ロサンゼルス・奥田 秀樹通信員、笹田 幸嗣通信員)

 ▽クオリファイング・オファー(QO) 自軍からFAとなる選手へ優先的に出せる残留要請。1年契約で金額は年俸上位125選手の平均額で今オフは1580万ドル(約19億2800万円)。拒否すれば全球団と交渉可能になり、元所属球団との再契約も可能。

続きを表示

この記事のフォト

2015年12月19日のニュース