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佐々木 無残失神KO 一時的な記憶喪失で試合決まったことも覚えておらず 日本人初のウエルター戴冠失敗

[ 2025年6月20日 05:00 ]

プロボクシング WBO世界ウエルター級タイトルマッチ   王者 ブライアン・ノーマン(米国) KO5回46秒 同級2位 佐々木尽(八王子中屋) ( 2025年6月19日    東京・大田区総合体育館 )

<WBO世界ウェルター級TM ブライアン・ノーマン・佐々木尽>>5回、ノーマンの左1発でマットに沈む佐々木
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 WBO世界ウエルター級2位の佐々木尽(23=八王子中屋)が、世界初挑戦で同級王者ブライアン・ノーマン(24=米国)に5回46秒KOで敗れた。3度目のダウンで失神。1989年12月の尾崎富士雄(帝拳)以来、36年ぶりの国内での同級世界挑戦となったが、日本人5人目6度目の挑戦で初の王座奪取とはならなかった。試合後はリングから担架で運ばれ、脳振とうで病院に直行した。

 完敗だった。36年ぶりの国内でのウエルター級世界挑戦。佐々木は歴史の扉を開くことはできなかった。初回、いきなり左を引っかけられてダウンすると、再開後も再び左でダウン。3回には強烈なワンツーを被弾しながらも、果敢に前に出続け何度も会場を沸かせた。だが、5回に強烈な左フックを浴びると、仰向けに倒れて失神KO。陣営もタオルを投入して棄権の意思を示した。

 試合後は意識を取り戻して病院に向かったが、所属ジムによると後頭部を強く打ち付けたことで、一時的な記憶喪失に。試合1カ月半前までの記憶が飛び、試合が決まったことも覚えていないという。

 元々は内股を得意とする柔道少年で、小5から中3までボクシングと両立。柔道では都大会2位に入る実績もあったが、高校入学と同時にボクシング一本に絞り18年にプロデビューした。2度の計量失敗や左肩の負傷を乗り越えプロ22戦目で初めて挑んだ世界の舞台だったが、世界の壁は厚かった。

 3月に米ラスベガスで行われたノーマンの防衛戦後に挑戦状を手渡し、宣戦布告。今月12日の公開練習で自身の等身大パネルを破壊するなど型破りなパフォーマンスの数々を披露した。前日計量では勝つ確率を「100(%)」と話すなどビッグマウスを連発してきたが不発。口癖の「日本ボクシング界の歴史を変える」ことはできなかった。

 それでも無敗の男と堂々と渡り合った23歳の物語はまだ序章。この敗戦を糧に世界再挑戦の時を待つ。 (伊東 慶久)

 ◇佐々木 尽(ささき・じん)2001年(平13)7月28日生まれ、東京都八王子市出身の23歳。中1から八王子中屋ジムで競技を始め、18年8月にプロデビュー。20年12月に日本スーパーライト級ユース王座、23年1月にWBOアジア・パシフィック・ウエルター級王座、24年5月に東洋太平洋同級王座を獲得。今年4月に両王座を返上。口癖は「日本人初の世界ウエルター級王者になる男」「待ってろ世界」。身長1メートル74の右ボクサーファイター。

 ▽ウエルター級 日本勢は過去4人計5度挑んで全敗。リミット66.6キロでスピード、パワー、技術の全てを備えた強豪がそろう激戦階級で、90年~00年代にかけてはウィテカー、デラホーヤ(ともに米国)ら大物が王者に名を連ねた。15年にはメイウェザー(米国)がパッキャオ(フィリピン)と「世紀の一戦」で対決。23年にはクロフォード(米国)が同級史上初の世界主要4団体王座統一を果たした。

【“負の連鎖”止まらず 日本人世界挑戦6連敗】
 今年3月29日に矢吹正道がIBF世界フライ級王座を獲得して以降、日本人の世界挑戦は6連敗となった。同30日の重岡優大に始まり井岡一翔、重岡銀次朗、亀田和毅、先月28日のIBFスーパーフェザー級王座決定戦に臨んだ同級3位の力石政法と全選手が12回判定負け。佐々木は“負の連鎖”を断ち切ることはできなかった。

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