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性別騒動の女子ボクシング、IBA基準”もう1人の不合格者”が初戦突破 非難の口笛浴びても判定勝ち

[ 2024年8月2日 22:45 ]

パリ五輪第8日 ボクシング ( 2024年8月2日    パリ北アリーナ )

初戦を突破したリン・ユーチン
Photo By AP

 性別騒動が起きているパリ五輪のボクシング女子で、昨年の世界選手権での性別適格検査で不合格となっていた”もう1人”の選手が出場した。57キロ級第1シードのリン・ユーチン(28=台湾)で、2日に行われた初戦の2回戦でシトラ・トゥルディベコワ(22=ウズベキスタン)と対戦。5―0で判定勝ちし、準々決勝へ進出した。

 選手紹介時に観客から非難の口笛も起きたリンは5センチ長身で、長いリーチを生かしたジャブでペースを握った。接近戦ではトゥルディベコワも打ち合ったが、1ラウンドのジャッジ5人の採点は4―1でリンが優勢。2、3ラウンドは前進してくるトゥルディベコワに対し、足を使いながらカウンターを適格に当て、ジャッジ全員が10―9とつけた。

 リンは国際ボクシング協会(IBA)主催の世界選手権で、女子バンタム級とフェザー級の2階級で計3度優勝。21年東京五輪フェザー級金メダリストの入江聖奈さんがライバル視していた選手だったが、東京五輪では初戦敗退を喫し、昨年の世界選手権では準決勝で敗れた後に性別適格検査の結果が発表され、銅メダルを剥奪されていた。

 1日の女子66キロ級2回戦では、リンと同じく世界選手権の性別適格検査で不合格となり、決勝への出場が認められなかったイマネ・ヘリフ(アルジェリア)とアンジェラ・カリニ(イタリア)が対戦。ヘリフのパンチを浴びたカリニが自らコーナーへ戻り、開始わずか46秒で棄権した。涙を流したカリニは「鼻に強い痛みを感じた。続けられなかった」と話し、「自分のために”ストップ”と言った。自分の命を守らなければならなかった」とも語った。ヘリフの出場には賛否両論が巻き起こり、「元男性」「トランスジェンダー」と誤った情報まで
拡散された。

 国際オリンピック委員会(IOC)はIBAの組織運営などを問題視し、19年に五輪での競技運営の資格停止を決定。ボクシング競技は東京大会に続きパリ大会もIBAではなくIOC管轄下で実施している。東京五輪にも出場した2人を性別適格検査で不合格とした理由について、IBAは「必須の資格基準を満たしておらず、他の女性選手よりも競争上の優位性があることが判明したことが明らかになった」と声明で発表。ウマル・クレムレフ会長は「XY染色体を持っていた」とも発言している。一方、IOCはマーク・アダムス広報部長が「パスポート上は女性なので問題ない」と出場を認めた理由を説明。公式サイトでも2人は「IBAによる突然の恣意的な決定の被害者」と強調した上で、選手への誹謗(ひぼう)中傷に遺憾の意を示した。

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