バレー女子日本 5連勝で格上トルコ&ブラジルにアタックを! 荒木絵里香氏、16日開幕パリ五輪予選解説

[ 2023年9月16日 04:50 ]

サーバを放つ古賀(左)(撮影・小海途 良幹)
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 バレーボール女子のパリ五輪予選兼W杯は16日、東京・国立代々木競技場で開幕し、日本はペルーと初戦を行う。15日には試合会場で最終調整した。予選は日本、中国、ポーランドの3カ国で3組に分かれて行われ、各組8チームの総当たりで上位2チームが出場権を得る。08年北京大会から4大会連続五輪に出場し、銅メダルを獲得した12年ロンドン五輪、地元開催の21年東京五輪で主将を務めた荒木絵里香氏(39=トヨタ車体チームコーディネーター)が、パリ行きの切符をつかむためのポイントを解説する。

 日本がパリ五輪切符を獲得するには2つの要素が必要になります。他の試合の勝敗で状況は変わりますが、格上のチームが順当に勝つと想定すれば最後の2試合に全勝で臨むこと、そしてトルコ、ブラジルのどちらかに勝利することです。

 ネーションズリーグ優勝国トルコは頭一つ抜けた実力を持っています。キューバから国籍変更したバルガス選手と、カラクルト選手の攻撃力は脅威。サーブ、ブロックもハイレベルでディグ(スパイクレシーブ)も安定感があります。

 ブラジルは長身の選手が多く、総合力が高い。ベテランと若手のバランスが取れています。エースのガビ選手の強烈なアタックが決まると勢いづくので注意したい。何より五輪になると目の色、戦い方が変わりプラスアルファの力を発揮するので難しい相手です。

 ライバル2カ国に勝つ鍵は貪欲な守備です。失点を抑え、相手の嫌がる戦い方を仕掛けていくことが重要です。拾ってつないでラリーに持ち込んだり、スパイクでブロックアウトを取ったり、サーブで崩していい状況で打たせないようにしたり、ストレスをかけて、相手がリズムに乗るのを防ぎ、本来の力を発揮できないようにすることがポイントです。

 チームの柱は古賀紗理那選手です。得点力が高く、守備もうまい。あらゆるプレーで貢献度が高く、精神的なリーダーでもあります。彼女のパフォーマンスがチームに大きな影響を与えるのは間違いないでしょう。

 守備面ではリベロはもちろん、林琴奈選手にも期待しています。アウトサイドヒッターながらリベロに劣らない守備力を備え、レセプション(サーブレシーブ)でも中心的役割を果たします。彼女の守備からの攻撃は強力な武器で決まるとチームがうまく回ります。

 現役時の私のポジションでもあるミドルブロッカーにも注目しています。山田二千華選手、宮部藍梨選手が中心になるでしょう。まずはブロックで相手のアタックに対してワンタッチを取り、少しでも守りやすくすることが求められます。攻撃においては、速攻で得点を取ることに加え、ハードワークでチームを動かしてほしい。ミドルの存在感が増せば相手のマークを引き付け、古賀選手の負担も軽減できるはずです。

 ネーションズリーグでは準々決勝で敗れましたが、進化を示しました。収穫の一つは新戦力の台頭です。和田由紀子選手は動きがシャープで決定力が高い。彼女はライトからのバックアタックを得意にしています。今まで日本にはなかった攻撃で新たなバリエーションをもたらしました。試合を重ねたことでコンビネーションの精度、質も高まりました。

 新武器にすべく強化しているのがサーブです。タスクフォースを立ち上げ、細かなデータをチーム内で共有していて、選手たちの意識、取り組み方が変わってきています。五輪予選でもさらに良くなると予想しています。

 トルコからは今年のネーションズリーグで、ブラジルからは昨年の世界選手権で白星を挙げています。ただ相手はフルメンバーではなかったので参考にしない方がいいでしょう。どの国もベストを尽くす五輪予選で勝ち切ることは来年のパリ五輪のメダルにもつながります。男子がネーションズリーグで銅メダルを獲得したことも刺激になっているはずです。日本らしい戦いで五輪出場権を獲得してもらいたいです。(元日本代表主将)

 ▼パリ五輪への道 パリ五輪出場枠は開催国フランスを含む12カ国。五輪予選は世界ランク上位24カ国が8カ国ずつ3組に分かれて、日本など3カ国で開催され、各組上位2カ国の計6カ国が出場権を得る。残る出場権は、来年のネーションズリーグ1次リーグ終了時(女子は6月17日)の世界ランクで、出場決定済みの7カ国を除く上位5カ国に付与される。

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