ラグビー五郎丸 宿命の相手「イングランドに勝て!」 引退会見で後輩にエール

[ 2020年12月17日 05:30 ]

引退会見で自身の今後や日本代表への思いを語った五郎丸
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 ラグビーの15年W杯日本代表で、今月9日に21年シーズン限りでの現役引退を発表したFB五郎丸歩(34=ヤマハ発動機)が16日、浜松市内で引退会見に臨んだ。14日に決まった23年W杯の1次リーグ組み合わせで日本はイングランドと同じD組。恩師でもある日本代表前ヘッドコーチ(HC)のエディー・ジョーンズ氏(60)が率いる“ラグビーの母国”からの初勝利を後輩たちに託した。

 大きな決断を下し、残り1シーズンへ強い決意を持って臨む男は、スッキリとした表情で会見場に現れた。「3歳から始めたラグビーの選手を終える寂しさはあるが、32年間、全力で走り抜けてきた。残り1シーズンしか戦う気力、体力ともに残っていない」。35歳(3月1日が誕生日)での引退は「22歳でプロ契約した時から決めていた」と明かした。

 引退後の身の振り方については「全くの白紙。性格的にも2つのことを同時に考えられる器用な人間ではない」と強調。指導者転身、芸能界進出、はたまた釣り人転身まで、さまざまな可能性が考えられるが、今は1月16日に開幕するラストシーズンに向け集中する。

 一方、今後の日本代表にかける期待は明確だ。「エディーさん率いるイングランドと対戦が決まったことは宿命を感じる。ラグビーが生まれたイングランドという素晴らしい国に勝利することが、日本ラグビーの価値、スポーツの価値を上げることになる。それをターゲットに後輩たちには頑張ってほしい」。熱い言葉で、イングランド撃破を期待した。

 05年に代表初キャップを獲得しながら、2大会連続でW杯を逃していた五郎丸を抜てきし、厳しく育ててくれたのがジョーンズ氏。「間違いなく自分の人生を大きく変えてくれた人」という大恩人が率いる強豪を破ることで、日本のラグビーは再び盛り上がり、文化として定着する。「まずは代表が強い成績を残し続けること。それが第一の条件」とし、後輩たちにエールを送った。

 ラグビーの未来を担う子供たちには「高い目標を現役トップ選手が示してくれる。そういう選手を追い抜く努力を日々してほしい」と熱いメッセージ。残り半年を切った現役生活でも、最後まで熱いプレーを見せる。 

 ◆五郎丸 歩(ごろうまる・あゆむ)1986年(昭61)3月1日生まれ、福岡県出身の34歳。3歳でラグビーを始め、佐賀工で花園を経験。早大では4年間で3度の大学日本一を経験し、08年にヤマハ発動機入り。トップリーグ通算1254得点は歴代最多。日本代表では05年に初キャップを獲得し、15年W杯は4試合全てフル出場して歴史的3勝に貢献。16年にはフランス1部トゥーロンでもプレー。1メートル85、100キロ。ポジションはFB。代表通算57キャップ。

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