サニブラウン2冠!200も“1強時代”雨には勝てず20秒35「7割の満足度」

[ 2019年7月1日 05:30 ]

陸上日本選手権最終日   男子200メートル ( 2019年6月30日    福岡・博多の森陸上競技場 )

<日本陸上競技選手権大会>男子200メートル決勝、雨の中力走し20秒35で優勝したサニブラウン(左は小池祐貴)(撮影・岡田 丈靖)
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 世界選手権(9月28日開幕、ドーハ)代表選考会を兼ねて行われ、男子200メートルはサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が20秒35で2年ぶり2度目の優勝を飾った。17年に続く2度目の短距離2冠は、1979年豊田敏夫以来40年ぶり史上3人目。悪天候でタイムこそ日本人初の19秒台には届かなかったものの、最優秀選手賞も受賞し、世界選手権へ弾みをつけた。

 雨が降り、湿度80%を超える重い空気を、サニブラウンが切り裂いた。「(短距離2冠は)17年にできたこと。もっと強くなって帰ってきた自分にできないことはない」。1強時代を強烈に印象づける快走で、ライバルたちを蹴散らした。

 100メートルを過ぎたところで18年ジャカルタ・アジア大会優勝の小池に並ばれかけたが、長いストライドで突き放すと、体一つの差をつけた。記録について「7割の満足度」と振り返ったが、残る“3割”に日本人初の19秒台の可能性を示したレースだった。

 今季のめざましい活躍の裏には“冬の時期”があった。フロリダ大に進学した昨年は5月に右脚の付け根を負傷。残りシーズンを棒に振った。大学シーズンは6月までとはいえ、無念の途中退場に「全然走れずに、ウエート室にこもっていました」と振り返る。

 それでも悲観せず、フロリダ大の充実した設備やスタッフに助けられ、オフのような負荷の高い練習を行った。「次はフルシーズンで走れるようにケアしていこうと、とりあえずは治そうかなと思った」。フロリダ大のアシスタントコーチで、今大会に同行したライト氏は「チームは彼が大好きだ。私たちは彼の目標のためにここにいるんだ」と話す。つらい時期に根を張った分だけ、才能が開花し始めたサニブラウンは「達成感は物凄くある。周りにも恵まれてここに立てている」と感謝の言葉を口にした。

 103回を誇る日本選手権で短距離2冠を2度達成したのは、3人目。圧倒的な強さを示したサニブラウンにとって次なる目標は、「化け物」と呼ぶ世界のライバルとの真剣勝負。ライトコーチは「彼のスタートは確実に良くなっている」と技術的な進歩にも太鼓判を押す。「自分のやるべきことをやれば結果はついてくる」と自信を見せた20歳は再び、歴史の扉を開けるために走るはずだ。

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