遼くん崩れて5打差5位も「最高の結果」

[ 2008年4月21日 06:00 ]

石川遼(中央)は最終18番ホールを終えボールをギャラリーに投げ込む

 男子ゴルフツアーの東建ホームメイト・カップ最終日が20日,三重県・東建多度CC・名古屋(7062ヤード、パー71)で行われ、プロツアー・デビュー戦で首位からスタートした石川遼(16=パナソニック)は4バーディー、3ボギー、2ダブルボギーの74とスコアを落としたが、終盤に3連続バーディーを奪うなど見せ場もつくり、通算3アンダーで5位と健闘した。優勝は5バーディーの66をマークした宮本勝昌(35=ハートンホテル)が通算8アンダーで逆転し、ツアー7勝目を挙げた。

 力を出し尽くした後の心地よい疲労感が全身を覆っていた。「74だったけど、自分にとっては最高の結果だと思います」。優勝の期待がかかる中、石川はスコアを崩し、5打差の5位に沈んだ。それでも、これ以上ない経験が何よりの収穫だった。
 最終日の最終組という最高の舞台。だが、優勝争いの緊張は思った以上だった。「もう頭の中が真っ白だった」という中、1番のティーショットは運良くフェアウエーへ。だが、それでも「地に足がつかない感じ」のまま第2打をシャンク。右ラフに打ち込み、結局、ダブルボギーといきなりつまずいた。
 前夜のことだ。同室の加藤大幸キャディーが目を覚ますほどの声で石川は寝言を発した。第3日に同組で回った宮本がなぜか夢に出たようだが、宿舎ではクラブもボールも触らずゴルフを忘れてリラックスする石川にとっては極めて珍しいこと。重圧は知らず知らずに石川をのみ込んでいた。
 9番ではティーショットが松の木の下に入り、第2打で左打ちを余儀なくされてボギー。11番のボギーでイーブンパーまでスコアを落とし、完全に優勝争いから脱落した。だが、ここからが石川の見せ場だった。同組の手嶋が、優勝争いが佳境となる15番で3パットするのを見て「僕の重圧は、まるで手嶋さんのレベルではない。自分がその立場だったらと考えると怖い」と開き直った。ラウンド中、常にドライバーで素振りを行い、徐々に自分のスイングを取り戻した。終盤の15番からは3連続バーディーを奪い「自分なりのテーマはできた」と24日からのつるやオープンにつなげた。
 大会のドライバーの平均飛距離279ヤードはトップ。ツアーで初めて手にした賞金は昨年の賞金シード獲得ラインとなった約1000万円の3分の1以上の399万6666円に達した。「練習中はプロでも、コースではまだ子供」と言うが、歴戦のプロと互角にわたり合えることを証明した。
 「5位という結果が、これからのゴルファーに与える影響は大きいと思う」。会見では16歳とは思えない言葉が自然と口をついた。1万5000人超を1人で集めるスター性。日本ゴルフ界の将来を担う石川が、堂々と4日間を戦い抜いた。

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2008年4月21日のニュース