53歳“鉄人”永尾 7度目出場メダルへ「千載一遇のチャンス」
リオデジャネイロ・パラリンピックは7日(日本時間8日午前6時15分)に開会式を迎える。陸上日本代表は5日、選手村内で会見し、日本選手夏季最多タイの7度目出場となる車いす陸上界の「鉄人」永尾嘉章(53=ANAORI・A・C)は16日に予選が始まる100メートル(T54クラス)で初の個人メダル獲得に自信を示した。
鉄人が分厚い胸を高鳴らせた。2大会ぶり7度目の大舞台を前に会見に臨んだ永尾は「自分がいるべき場所に帰ってきた。パラリンピックは空気感がいいですね」と明るい表情で語った。
53歳にして進化を続けている驚異的な男だ。昨年6月、スイスでの国際大会の100メートルで14秒07の日本記録を出した。自己ベストを15年ぶりに、しかも一気に0秒52更新。「100メートルはこれまでのどの大会よりもメダルに近い。千載一遇のチャンス」と自信たっぷりだ。
88年ソウル大会から6大会連続で出場したが、12年ロンドン大会では落選した。「年齢的に苦しくなって、正直帰ってこられないかと思った」と諦めかけた。それでも「やりきった感覚がなかった。けじめをつけたかった」と再起。フォームを改良し、肉体改造にも着手した。ベンチプレスは最大130キロを挙げるほど。よりダイナミックなフォームで出力を上げてきた。また、ミスが出やすかった課題のスタートダッシュも修正し、安定感も高めた。
日本選手団主将を務めた04年アテネ大会では1600メートルリレーで銅メダルを獲得したが、個人種目のメダルはまだない。「気持ちは安定している。スタートダッシュが決まって13秒台が出れば、メダルに届く」。メダルへの青写真ははっきり脳裏に描かれている。
◆永尾 嘉章(ながお・よしふみ)1963年(昭38)2月9日、兵庫県生まれ。5歳でポリオ(小児まひ)を発症し、高校時代に車いす陸上を始めた。88年ソウル大会でパラリンピック初出場。車いすバスケットにも取り組んでいたが、90年以降陸上に専念。
▽ロンドン大会での日本の陸上競技のメダル 計4個。車いすT52クラスの伊藤智也が200メートル、400メートル、800メートルの3種目で銀メダル。視覚障害T11クラスの5000メートルで和田伸也が銅メダル
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