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桐生、国内最強→リオへ 史上屈指のハイレベルも「調子がいい」

[ 2016年6月24日 05:30 ]

山県(右)の見つめる前でスタート練習をおこなう桐生

 桐生祥秀(20=東洋大)が100回大会の100メートルを制して歴史に名を刻む。リオデジャネイロ五輪の最終選考会を兼ねた陸上の日本選手権が24日にパロマ瑞穂スタジアム(名古屋市)で開幕。23日に会場で会見した主役候補は、山県亮太(24=セイコーホールディングス)、ケンブリッジ飛鳥(23=ドーム)らとのハイレベルな争いを制することを宣言。日本勢初の9秒台突入が期待される中、2年ぶり2度目の大会制覇で国内最強の称号を確かなものにしてリオへと向かう。

 巡り合わせはスターやヒーローに不可欠な要素だ。記念の100回大会を上り調子で迎える桐生は開幕前日の会見で必勝宣言。節目の大会で主役を演じる意欲を見せた。

 「勝ちたいです。100回の区切りですし、100メートルの種目に出て100回というのはいい感じ。それがどうこうではないけど勝ちたいですね」

 100回の歴史の中でも指折りのハイレベルな争いだ。自身が11日の日本学生個人選手権で自己タイ記録10秒01を出しただけでなく、周りもにぎやか。山県は自己新の10秒06を今月出し、ケンブリッジは5月に自己新10秒10を出した。自己記録10秒09の高瀬もいる。世間の関心も高く、一部の席の前売り券が完売。報道陣は異例の430人の取材申請があった。熱気も激戦も望むところだ。

 「一番最初にゴールを駆け抜けるのが自分だったらいいし、それを自分にしようと思っている。ライバルはみんな調子いいけど、自分も調子がいいと思っている」

 桐生は日本陸連が定める派遣設定記録(10秒01)を唯一クリア。他に突破者が出なければ今大会8位以内で五輪当確の有利な立場にいる。しかし節目の大会で目指すのは勝利だけ。きょう24日の予選、準決勝、25日の決勝の両日ともに雨予報ながら、「自分の気持ちを燃やしていきたい」と意に介していない。

 ライバルの中でも山県には並々ならぬ思いがある。今季の直接対決は1勝2敗。特に5日の布勢スプリントは終盤にかわされたことで、「自分の走りを見直した」と11日に出した3年ぶりの自己タイ記録につながった。この日の2人は大会サブトラックの100メートルのレーンで1時間近く時間を共有。会話は特になかったとみられるが、静かに火花を散らした。

 1913年(大2)の第1回大会を制した明石和衛。12秒4という記録が残っている。1世紀が過ぎ、桐生には日本人初の公認9秒台の期待がかかる。メモリアルな大会で、記録にも記憶にも名を残す。

 ▽リオ五輪への道 個人種目出場枠は最大3。日本陸連が定めた派遣設定記録の突破者で日本選手権8位以内の最上位は自動的に代表になり、国際陸連の参加標準記録到達者が日本選手権で優勝した場合も代表に決定。日本選手権で派遣設定突破者は8位以内、参加標準到達者は3位以内で代表入りに前進する。男子100メートルでは桐生が派遣設定(10秒01)を破り山県とケンブリッジが参加標準(10秒16)を突破。参加標準を満たす高瀬は200メートルに専念する予定だ。

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2016年6月24日のニュース