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女子も五輪決めた!サクラセブンズ年240日強化結実

[ 2015年11月30日 05:30 ]

<日本・カザフスタン>リオ五輪出場を喜ぶ選手たち

7人制ラグビーリオデジャネイロ五輪アジア予選日本大会

(11月29日 秩父宮)
 ラグビー女子もリオ切符だ。日本は優勝して大会ランキングポイントを12としてアジア予選を制覇、来年8月のリオデジャネイロ五輪出場権を獲得した。団体球技のリオ切符は、女子バスケットボール、女子ホッケー、男子7人制ラグビーに次ぐ4団体目。決勝では1次リーグで敗れていたカザフスタンを14―7で下した。自身も日本代表で活躍した浅見敬子ヘッドコーチ(38)以下、チームと日本協会が一体となって強化した「サクラセブンズ」が満開の花を咲かせた。

 強い女たちは、最後まで涙一つ見せなかった。決勝のノーサイドの笛とともにリオへの道が開けた瞬間、選手たちは笑顔で互いの健闘を称え合った。常に腰が低い浅見HCは「アジアでの戦いも楽ではなく苦しかった。最後に勝てたのは、ファンの皆さまのおかげ」。その瞬間を見届けようと訪れた5800人のファンに、感謝を述べた。

 引き分け以上で五輪出場が決まる1次リーグ最終カザフスタン戦は5―7で惜敗。決勝でも22点差以下の敗戦ならリオ行きが決まる状況だったが、中村主将は「リーダー陣だけが知っていればいい」と冨田、山口の2人とだけ情報を共有。一心不乱に勝利を追い求めた。

 決勝は前半3分に中村主将のトライで先制。後半早々に同点とされたが、そこからが真骨頂だった。1次リーグまでの7分とは違い、決勝は10分ハーフ。相手の足が止まり始めた後半7分、ペナルティーで大黒田が速攻を仕掛け、守備に戻りきれない相手をあざ笑うかのように小出がゲインしてインゴール中央にトライ。殊勲のチーム最年少の19歳は「苦しい時間もあったが、10分ハーフなので日本の時間が来ると思っていた」と話した。

 セブンズの五輪採用が決まった09年当時、女子にとってリオは夢のまた夢だった。高校、大学、トップリーグとクラブや各種大会が整備されている男子と違い、女子の競技者人口は3000人。アジアでは中国に勝てなかった。状況を打開しようと、日本協会は昨年1月に年間240日の代表招集期間を設けると発表。本格強化が始まった。

 最も強化したのはフィットネス。昨春の千葉県勝浦市での合宿ではボールを使わず、フィットネストレーニングのみの4部練習を6日間続けた。選手たちが「勝浦ショック」と呼ぶ過酷な合宿は、その後も繰り返された。狙いは世界との体格差を埋める運動量を身に付けるため。休みなく動き回り、速いテンポでのアタックに活路を見いだしたさまは、エディージャパンの「ジャパンウエー」そのものだった。

 電通東日本に勤める中村主将、新潮社に勤める竹内は競技に専念するために休職し、全日空就職1年目の横尾は「トータルで2週間も行っていない」。山口は離職しプロ転向、兼松は8歳の愛娘を実家のある愛知に残してラグビーを続けた。それぞれが大きな犠牲を払ってきたが、それは五輪切符を獲るためではない。「五輪まで1年ないが、金メダルを獲るためにやってきた」と中村。真の目標達成へ、彼女たちが歩みを止めることはない。

 ▽7人制ラグビーのルール フィールドのサイズは15人制と同じで、1チームは12人。7人はFW3人、バックス4人で編成する。試合は前後半7分ハーフで、ハーフタイムは2分と短いが、大会の決勝のみ10分ハーフで行うことが多い。1日に数試合をこなすのが通例。ルールは15人制とほぼ同じだが、スクラムを3対3で組むほか、試合再開はトライを取ったチームがキックオフするなど異なる点もある。

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2015年11月30日のニュース