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シオ 引退試合で3位「4年間が報われた」

[ 2012年9月23日 06:00 ]

「ありがとう!」テレビの取材を終えた潮田(右)と池田は抱き合う

バドミントン ヨネックス・オープン・ジャパン第5日

(9月22日 国立代々木競技場)
 各種目の準決勝を行い、混合ダブルスの池田信太郎(31)潮田玲子(28=日本ユニシス)組が敗れ、今大会限りでの引退を表明していた潮田が現役生活を終えた。涙でコートを去ったバドミントン界のアイドル選手は、スポーツキャスターへの転身を表明。休部が決まったパナソニックに所属する女子シングルスの広瀬栄理子(27)、女子ダブルスの松尾静香(25)内藤真実(25)組が決勝に進出した。

 「きょうは泣かないぞと思って」いたが、引退の瞬間、潮田の大きな目には涙があふれた。その瞬間を拒むように相手男子の連続スマッシュを返し続けたが、3度目のレシーブがアウト。コートを去る前に観衆に手を振ってあいさつする間に、両目が赤く染まった。

 ロンドン五輪4位の女子のナッチルがいるペアに完敗した。それでも、自ら引退の舞台に選んだ大会で、混合初勝利を含む2勝で3位。「4年間が報われた」と振り返った。「寂しさ」とともにこみ上げたのは「一生、忘れられない試合になった」との思いだった。

 6歳でバドミントンを始めた。小椋久美子(10年に引退)とペアを組み、オグシオ人気で注目され、07年世界選手権で3位に入った。08年北京五輪では8強入りした順調な競技人生だったが、23年の現役生活で、混合に転向した最後の4年間が最も苦しかった。

 世界選手権の男子ダブルス3位、池田とのペア結成は大きな期待を集めた。大阪から上京し、所属も三洋電機(現パナソニック)から日本ユニシスに移籍。迷惑を掛けた人がいた分、「覚悟が必要だったし結果を求められた」。だが、3年間は国内でも勝てなかった。

 10年の全日本総合の決勝で敗れた後「どうしていいか分からない。自信がない」と、池田に初めて弱音を吐いた。引退すら頭をよぎったが「このままでは終われないと、ずっと思ってきた」。その苦しみが、引退試合には詰まっていた。

 今後は「スポーツを伝える側になりたい」と話し、スポーツキャスターに転身する。交際中のJリーグ柏の増嶋竜也との今後も注目される。不屈の意志を美しい顔で隠し、広告塔の役割を果たしながら、結果も残し続けた。二物を与えられた潮田が、ラケットをコートに置いて、戦いの場を去った。

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2012年9月23日のニュース