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藤原“国内最強”証明!日本人最高6位で五輪本番へ弾み

[ 2012年7月2日 06:00 ]

男子で日本人最高の6位でゴールする藤原新(手前)

札幌国際ハーフマラソン

(7月1日 札幌市円山陸上競技場発着21・0975キロ)
 夢舞台へ順風満帆だ。ロンドン五輪男子マラソン代表の藤原新(30=ミキハウス)が、1時間2分48秒で日本人トップの6位に入った。岡本直己(28=中国電力)とのトラック勝負を制し1時間3分48秒で18位だった五輪代表の山本亮(28=佐川急便)にも完勝。五輪前のラスト実戦で国内最強をアピールし8月12日の本番へ弾みをつけた。

 出世レースの再現だ。トラックに入って、残り100メートル。最後の力を振り絞った藤原が、両手を広げてゴールに飛び込んだ。ラスト勝負を制してロンドン切符をつかんだ、2月の東京マラソンと同じ光景。「ちょっと東京マラソンを思い出した。メダルをイメージして、競り勝つのを頭に焼き付けたかった。ロンドンでもこんな感じでゴールしたいな」。五輪に向けた最後の実戦できっちり日本人トップを確保。「最高の予行演習になった。終盤の競り合いは自信になる」と十分な手応えをつかんだ。

 真っ赤な新しいシューズを履き、本番コースを思い描きながらピッチを刻んだ。ロンドンは曲がり角の多い難コース。この日は集団でカーブに入る際、アウトコースの位置取りをするなど、序盤は冷静に運んだ。「本番は道ももっと狭いし、気をつけないと」。10キロで岡本に30秒差をつけられたものの、12キロ手前からペースを上げて16キロ手前で捉えた。並走のまま迎えた20キロでいったんは突き放されたが、トラックできっちり逆転。「ギリギリだったけど、踏ん張れた。あがいてみるもんですね」と汗を拭った。

 5月は3週連続でロードレースに出場。6月も23日にトラックの1万メートルを2本、27日に5000メートルを走り、中3日で今大会に臨んだ。公務員ランナーの川内優輝(25=埼玉陸協)が取り入れている、多くのレースを走ることで負荷をかける調整法。“川内メソッド”で結果を出し、「やってきたことは正しい。この方向性でいいと確認できた」と藤原は自信を深めた。五輪代表を決めてから出場したロードレースは、全て日本人トップ。去年の札幌国際ハーフで途中棄権だった男が、今や国内最強だ。

 東京マラソンまでは無所属無収入だったが、ミキハウスとの所属契約などで一気に4000万円(推定)を超えるビッグマネーを稼いだ。この日のレース後は、BMWから貸与されている高級車のハンドルを自ら握り、新千歳空港へ。マラソン界の常識を覆してきた“成り上がりランナー”は妻子が暮らす富山で最後の休息を取り、5日にスイス・サンモリッツの高地合宿に出発する。「ここまでは80~85点。謙虚なんで100点はつけたくない」。夢舞台で満点のレースをするために、さらにギアを上げていく。

◇札幌国際ハーフ男子成績◇
(1)マサシ(スズキ浜松AC)1時間1分35秒
(2)モグス(日清食品グループ)1時間1分51秒
(3)ギタウ(JFEスチール)1時間2分0秒
(4)J・ムワンギ(NTN)1時間2分9秒
(5)M・ムワンギ(YKK)1時間2分18秒
(6)藤原  新(ミキハウス)1時間2分48秒
(7)岡本 直己(中国電力)1時間2分50秒
(8)ゲディオン(日清食品グループ)1時間3分16秒
(9)山本 芳弘(トヨタ紡績)1時間3分22秒
(10)カル(愛三工業)1時間3分24秒
(18)山本  亮(佐川急便)1時間3分48秒

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