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日本2-3敗退も…錦織 エース意地のWG初勝利

[ 2012年2月13日 06:00 ]

<デ杯最終日 錦織圭・ドディグ>相手のショットに必死に食らいつき、ポイントを上げる錦織

男子テニス国別対抗戦デ杯ワールドグループ1回戦最終日

(2月12日 三木市ブルボンビーンズドーム)
ロンドン五輪のメダル獲得へ希望の光をともす日の丸1勝だ。日本はクロアチアとシングルス2試合を戦い第1試合で世界ランク20位の錦織圭(22)が同55位のイワン・ドディグ(27)に7―5、7―6、6―3でストレート勝ちしワールドグループ(WG)での自身初勝利を挙げた。だが、第2試合で同90位の添田豪(27)が同43位イボ・カロビッチ(32)にストレートで敗れ日本は通算2勝3敗で初のベスト8進出はならなかった。9月の入れ替え戦でWG残留を目指す。

 WG1回戦敗退が決まった添田の敗戦をスタンドで見届けると、錦織は日本チームの一員として場内を一周して声援に応えた。「自分が2勝しなければいけなかったが、実力が足りなかった。これからは必ず2勝できるように頑張りたい」。シングルスで2勝するのがエースの役割。結果的に初日のカロビッチ戦に勝っていれば、日本初のベスト8進出を果たせただけに、最後まで自分自身を責めた。

 エースとしての意地は見せた。1勝2敗で迎えた最終日の第1試合。「朝から緊張していた」と第1セットはドディグに2―5といきなり追い込まれた。この土俵際で思い出したのは試合前に届いた友人からの「圭らしいプレーを」と記されたメール。「結果どうこうより、自分のできることをしっかりやろう」と気持ちを切り替えると、5ゲーム連続で奪取し、第1セットをものにした。

 「攻めて自分から展開しよう」という竹内監督の作戦も奏功し、得意のラリー戦で優位に立った。序盤苦しんでいたドディグのサーブにも対応。第2セットをタイブレークの末に奪い、第3セットは6―3でストレート勝ち。最終戦まで望みをつなぐ勝利をつかみ「チームのために最低1勝できたので、ホッとしている」と、試合後は少しだけ笑みを漏らした。

 初日は超高速サーブを武器とする2メートル8のカロビッチの前に1時間49分の完敗劇を喫し、全豪日本男子80年ぶり8強で手に入れた自信も粉砕された。「悔しすぎて精神的に死んでいた」。そんなドン底の精神状態からはい上がってつかんだ自身初のWG勝利だけに価値がある。

 デ杯は9月のWG入れ替え戦に回ることになったため、次に日本代表として戦うのは7月のロンドン五輪。北京五輪では1回戦敗退に終わっており、リベンジの思いは強い。今大会の経験を経て「デ杯は日本人として戦うことを再認識する場」とよりいっそう日の丸への思いを強めた。狙うのは1920年アントワープ五輪で熊谷一弥が単複で銀メダルを獲得して以来、日本テニス界92年ぶりとなるメダル獲得。数々の日本のテニス史を塗り替えてきた22歳には無限の可能性が広がっている。

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