【オークス】チェルヴィニアV!桜花賞13着から“大変身” 01年7着祖母、16年2着母の無念晴らした

[ 2024年5月20日 04:30 ]

<東京11R・オークス>鮮やかにG1初勝利を挙げたルメール騎乗のチェルヴィニア(撮影・河野 光希)
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 3歳牝馬クラシック第2弾「第85回オークス」が19日、東京競馬場で行われ、2番人気チェルヴィニアが桜花賞13着から巻き返し見事な逆転V。2冠を狙った桜花賞馬ステレンボッシュをゴール前で差し切った。鞍上のクリストフ・ルメール(45)は現役最多となるオークス4勝目。3月ドバイでの落馬負傷から復帰し今年のG1初勝利。20日が誕生日の名手は、自らの手綱で1日早い誕生祝い。最高の流れでレガレイラと今週末のダービーへ向かう。

 「ただいま!」。お立ち台で開口一番。ルメールの笑顔がはじけた。ウイニングランをするチェルヴィニアの馬上から、4万の観衆に何度も手を上げて応えた。これが今年のG1初勝利。名手が“定位置”に帰ってきた。3月30日のドバイで落馬し鎖骨、肋骨を骨折。肺も損傷し桜花賞、皐月賞は騎乗を見送るしかなかった。「オークスとダービーは頑張りたかった。(負傷期間は)大変だったけどドクターや奥さん(バーバラ夫人)のおかげで勝つことができた」。勝利への思いは人一倍強かった。

 先行2騎が飛ばした道中、ルメールとチェルヴィニアは後方馬群でぴったり折り合った。縦長の隊列がギュッと詰まって迎えた直線。外へと進路を求めたチェルヴィニアは残り400メートルでスパート開始。離れた内からはステレンボッシュが馬群をさばいて伸びてくる。残り200メートル、抜け出したステレンを目標に猛チャージ。ともに上がり最速タイ3F34秒0。熾烈(しれつ)な末脚比べを半馬身差でねじ伏せた。鞍上は「返し馬の時は凄く柔らかかった。ポテンシャルは高いと思っていたので自信を持って乗りました。最後に本当のチェルヴィニアの走りができた」と相棒を称えた。

 01年に祖母ハッピーパスが7着、16年に母チェッキーノが2着に敗れた舞台。一族の悲願をついに達成した。前走桜花賞は休み明けに大外枠が響き13着。だが陣営の懸命なサポートが実を結んだ。管理する木村師は「2番人気で責任も感じていたので非常に苦しい中間だったが、結果が出てホッとしています。スタッフは前に進むという困難な作業に立ち向かっていってくれた」と振り返る。昨年、アルテミスSで重賞初制覇を果たすなど、デビュー当初から評価が高かった素質馬。「初めて入厩した時の坂路の動きを見ても、過去の管理馬のトップホースに匹敵すると思っていたので期待していた」。指揮官の予感は現実となった。

 G1・6勝を挙げたイクイノックスが記憶に新しい木村師とルメールの黄金タッグ。この週末は土曜の東京9、11Rに続き、コンビで挑んだ3戦全てで勝利を挙げた。今週末のダービーではレガレイラで17年ぶり牝馬Vの偉業を目指す。鞍上は「今回はベストコンディションで良い結果を出せると思う」と、牡牝クラシック連勝へ自信満々。勢いに乗る名コンビなら、さらなる大仕事も夢ではない。

 ◆チェルヴィニア 父ハービンジャー 母チェッキーノ(母の父キングカメハメハ)21年2月3日生まれ 牝3歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績5戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億1519万円 馬名の由来はマッターホルン山麓の集落の名。

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