馬への感謝胸に育成牧場からJRA厩務員を目指す

[ 2024年4月25日 10:30 ]

仲川典志さん
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 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は栗東取材班の田村達人(31)が担当する。JRA厩務員を目指し、滋賀県東近江市の育成牧場「JOJI STABLE」で馬乗りに励む岐阜県出身の仲川典志さん(21)に話を聞いた。

 体調管理からレース前のパドックまで競走馬を裏方で支える厩舎スタッフ。現在、JRA厩務員は約2000人が在籍している。JRA厩務員になるには、競馬学校厩務員課程を卒業する必要がある。応募資格は競走馬・育成馬・乗馬の騎乗経験期間の合計が1年以上で、19年秋から年齢制限が撤廃された。記者も11年に高校卒業後、北海道で馬乗りを経験。厩務員を目指していた時期があった。乗る側から取材する側へ。メモ帳を広げて、ペンを走らせている。

 自然豊かな滋賀県東近江市。池江厩舎の元スタッフでG12勝ラブリーデイ、17年安田記念の勝ち馬サトノアラジンなどを手がけた山元譲治さんが22年春に開業した育成牧場「JOJI STABLE」でJRA厩務員を目指す仲川典志さんは長野県出身の21歳。中学3年の頃、自営業を営む父親と訪れた東京競馬場で競馬に興味を持った。仲川さんは「初めて大きい馬を見た時に衝撃を受けて、馬に携わる仕事がしたいと思いました」と振り返る。

 高校卒業後、地元を離れ、千葉県にある全寮制の東関東馬事専門学院に入学。就職活動の時にインスタグラムでJOJI STABLEの募集を見てメッセージを送った。「新しく牧場ができるのは知っていて譲治さんとのメッセージのやりとりで3日間、研修をさせてもらえることになりました」。研修を経て、正式に働くことが決まった。

 馬の世話をする仕事は朝が早い。午前4時半から寝わら上げなど厩舎作業がスタート。毎日、5頭の調教をつけて(手入れや運動など1頭、約1時間)午後から担当馬の歩様を確認する。牧場に来て、1年がたった。「学生の時とは責任感が全然違いますし、馬に携わって3年ですが毎日が勉強です。譲治さんの“馬がいて自分たちは仕事ができる。馬に感謝しなさい”という言葉を胸に頑張っています」と目を輝かせた。

 普段から調教でまたがっている馬がレースで結果を出した時に喜び、やりがいを感じる。「将来、たくさんの方々から乗ってもらいたいと思える調教助手になりたい。譲治さんのように大きな舞台で勝つことが目標です」。早ければ、今秋の厩務員課程を受験する予定。希望を持った青年が汗を流し、馬づくりに励んでいる。

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