初海外遠征での連闘で歴史的名牝の2着となったクルーガー

[ 2024年4月19日 05:02 ]

19年クイーンエリザベスSのゴール前。左がクルーガー、右がウィンクス(撮影・平松さとし)
Photo By 提供写真

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、京都競馬場ではマイラーズC(G2)が行われる。

 2016年にこのレースを勝ったのがクルーガー(栗東・高野友和厩舎)だ。同馬はその3年後の19年、勇躍オーストラリアへ遠征する。挑戦したのはかの地の伝統のマイルG1。この年、第154回目を数えたドンカスターマイル(G1)だった。

 「慣れない環境でイレ込んでしまいました」

 当日の様子を、後にそう語ったのは高野調教師だ。パドックはただでさえ日本よりも狭いのに、厩舎関係者だけでなくオーナーや報道陣まで入り、ごった返す。その雰囲気に気おされたクルーガーは後ずさりして、外周の植え込みに後肢を踏み入れてしまったのだ。

 しかし、その時の高野調教師の迅速な判断がクルーガーを救った。指揮官はすぐに本馬場への先出しを主催者にリクエスト。許可をもらったことで、クルーガーはそれ以上のイレ込みを見せる前にコースへ向かえたのだ。

 結果は4着に敗れたが、先行馬がそっくり残るペースを追い上げてのこの着順は優秀だった。

 そして、これを受けて、再び陣営が動いた。本来の帰国予定を1週延ばし、翌週に行われるクイーンエリザベスS(G1)に連闘で挑んだのだ。

 ここでは、パドックには最後に入れ、馬場には先出しと、前週の経験を踏まえ、対処した。その成果もあり、レースでは見せ場を演出する。3~4コーナーを回る際、内を突きワープするように一気に進出。結果、勝つことこそできなかったが、2着に善戦。それも、勝ち馬はこれが33連勝目であり、25回目のG1勝ちとなったウィンクス。この歴史的名牝からわずか1馬身半遅れの2着だったのだから、大善戦といえる好走をしてみせたのだった。

 「ウィンクス相手によく頑張ってくれました」

 当時、そう口を開いた高野調教師は、小首をかしげながら続けた。

 「でも、勝つつもりで挑んでいたので、悔しいです」

 果たして今年のマイラーズCも、将来の海外遠征につながる馬が出てくるだろうか?注目したい。 (フリーライター)

続きを表示

「2023 天皇賞(春)」特集記事

「青葉賞」特集記事

2024年4月19日のニュース