【チャンピオンズC】ベリル“最強砂王”最短6戦6勝無敗V 音無師「着差以上に強かった」

[ 2019年12月2日 05:30 ]

最強砂王誕生!ゴール前でゴールドドリーム(左)、インティ(右)を抑え、チャンピオンズCを制したクリソベリル(撮影・亀井 直樹)
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 秋のダート王決定戦「第20回チャンピオンズC」が1日、中京競馬場で行われ、2番人気クリソベリルが直線、2着ゴールドドリームと3着インティの間を割って抜け出し、6戦6勝で無傷の頂点に立った。G1はジャパンダートダービーに次ぐ2勝目。6戦目、そして無敗での古馬G1勝利は02年ファインモーション(エリザベス女王杯)に次ぐ史上2頭目の快挙。1分48秒5は16年サウンドトゥルーがマークした1分50秒1を上回るチャンピオンズCレコードだった。川田将雅(34)は昨年のスプリンターズS(ファインニードル)以来のG1制覇となった。

 残り150メートル。GI馬3頭の意地とプライドがスパークした。逃げ粘るインティ。外から捉えにかかったゴールドドリーム。クリソベリルはインから迫り、2頭の間に馬体をねじ込む。あぶみがぶつかるかのような狭さ。だが3歳馬はひるまない。前に出た。大いなる価値を秘めた首差。無敗6連勝での頂点だ。劇的な世代交代。川田はスタンドに何度も頭を下げた。

 「勝つことができて何より。道中はいい位置でリズム良く運ぶことができました。直線は両サイドに素晴らしい馬がいて、なかなか前に出られなかったけど3頭併せで抜け出して改めて強さを感じました」。昨年のスプリンターズS(ファインニードル)以来、1年以上、G1勝ちから遠ざかった。1番人気馬にも何度もまたがっており責任を感じていた。「今年、人気馬にもたくさん乗りながら勝つことができず申し訳なかった。クリソベリルが勝ってくれてありがたい」。ファンに感謝した。

 馬の強さも底が見えない。6戦6勝での古馬G1制覇は02年ファインモーション(エリザベス女王杯)と並ぶ快挙だ。11キロ増で勝ち切った馬体は、さらなる成長を予感させる。「普段はおっとりしている」と音無師。のんびりした性格で担当者を困らせることがないが、競馬になるとすさまじいばかりの勝負根性を発揮する。過去5戦は圧勝続き。2着馬に計26馬身もの差をつけ、かえって「モマれてどうか」と不安視された。全く問題なかった。ついに接戦を制しひと皮むけた。「川田君はこの馬のことをよく分かっている。堂々とした乗り方。ゴール前でシュッと抜けてきた。着差以上に強かった」(同師)

 完全無欠の若きダート王の誕生。暮れの東京大賞典は見送ることが決定済み。フェブラリーSも「距離が短い」(同師)とパスする意向。国内を制圧した以上、来春のターゲットは海外だ。候補は3つ。まずは米国のペガサスワールドC(1月25日、ガルフストリームパーク、ダート1800メートル)。そして世界最高額、約10億円の1着賞金を懸け、創設元年を迎えるサウジカップ(2月29日、キングアブドゥラジズ、ダート1800メートル)。さらにドバイワールドC(3月28日、メイダン、ダート2000メートル)。オーナーのキャロットファーム・秋田博章代表は「ここを勝てれば海外へと思っていた。検疫の問題もあるし、転戦まではどうかと思うが、じっくり考えたい」。仮に米国から中東転戦で3連勝なら、その3戦で獲得賞金20億円超えだ。無限の可能性を秘めた無敗の3歳馬。新年の照準は世界制圧だ。

 【アラカルト】
 ☆激戦 G1馬7頭が出走した。これで6年連続、G1優勝経験馬の勝利となった。
 ☆浅いキャリア 6戦目での古馬G1レース勝利はファインモーション、リアルインパクト、フィエールマンに次いで4頭目。
 ☆若さが武器 3歳馬の勝利は昨年のルヴァンスレーヴに続いて5度目。
 ☆最強 ノーザンファームは秋華賞からJRA・G1実施機会7連勝。今年G116勝目。
 ☆勝ち馬の馬名の由来 「金緑石」。研磨によって光の筋が猫の目のように見えると「キャッツアイ(猫目石)」と呼ばれて価値を増す。

 ◆クリソベリル 父ゴールドアリュール 母クリソプレーズ(母の父エルコンドルパサー)牡3歳 栗東・音無厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績6戦6勝(JRA3戦3勝) 総獲得賞金2億2460万2000円。

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