【G1顛末記】令和の時代にとんでもない男が現れた ヴィクトリアMでレコードV

[ 2019年5月12日 17:09 ]

<東京11R・ヴィクトリアマイル>レースを終えたノームコアの頭をなでるレーン騎手(撮影・吉田 剛)
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 ノームコアをG1ゴールに導いた25歳、ダミアン・レーン騎手の落ち着いた手綱さばきに脱帽だ。

 前日土曜に行われた京王杯SC(芝1400メートル)はタワーオブロンドンに騎乗し、1分19秒4の高速決着を制している。ならばヴィクトリアMは1分31秒台を割り込む強烈なレコード決着になる。その“読み”から逆算したかのような正確無比な騎乗だった。
 横山典騎乗のアエロリットが刻む猛烈なハイラップも想定済み。ならば前半は抑えた位置で折り合いに専念すればいい。マイル戦の経験が浅いノームコアを落ち着かせ、うまく馬群に入れる。人馬の呼吸は完璧だった。

 直線は一瞬動き辛いシーンもあったが、先に仕掛け出たラッキーライラック(4着)に合わせ、これを捕らえて飲み込む。最後は外を強襲するプリモシーンの鬼脚をクビ差封じ込んでゴール。

 1分30秒5!! 驚異的なレコードが表示されると競馬場がどよめく。ターフビジョンに映し出された京都競馬場にも同様の衝撃が走った。

 しかし改めてVTRを見直すと直線の攻防は驚くほど冷静。高揚する気持ちを抑える風でもなく、自分のリズムでひたすら馬を前に走らせる。

 「機会を与えてくれて感謝です」。勝利インタビューで謙虚に頭(こうべ)を垂れた25歳。オークスはフラワーCを制したコントラチェックに騎乗。日本ダービーは皐月賞馬サートゥルナーリアを任されている。

 G1・3連勝さえ見えて来たがプレッシャーなど新時代のヒーローにはどこ吹く風だろう。今週も来週も驚かせてくれるはず。令和の時代にとんでもない男が現れたものだ。(5月12日、大阪本社・オサム@京都競馬場) 

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