菜七子 笑顔のバースデー、10代最後に描く“英光の架け橋”

[ 2016年8月10日 05:30 ]

報道陣から贈られたバースデーケーキを前にイギリス遠征での健闘を誓う藤田菜七子

 ハッピーバースデー、菜七子!9日に19回目の誕生日を迎えた新人女性騎手の藤田菜七子。この日、美浦トレセンで報道陣からサプライズのバースデーケーキをプレゼントされると、菜七子スマイルがはじけた。初の海外遠征となる「ファティマ・ビント・ムバラク妃殿下レディースワールドチャンピオンシップ」(19日、サンダウンパーク競馬場)に参戦するため、英国に渡ることが決定している。世界デビュー間近の菜七子がデビューから怒とうの半年間を振り返り、10代最後の1年間への意気込みを語った。

 この日は午前8時に調教を終えた菜七子。早朝に同世代の白井健三が獲得した体操男子団体総合の金メダルに「凄いですね。見ていて感動しました」と話すなど、自身の誕生日にはすっかり“無警戒”。報道陣に合同取材として呼び出された美浦トレセン南スタンド4階の部屋で、サプライズバースデーケーキを目にすると「うわ~凄い!!えっ、写真撮ってもいいですか!?」と一気に菜七子スマイルを爆発させた。

 30センチ四方のバースデーケーキの表面には自身初の自厩舎V(5月28日、東京)を挙げたネイチャーポイントがプリントされており、「ネイチャーがいる」と愛馬の姿を見つけてはしゃいだ。報道陣の奏でる低音ボイスの♪ハッピ~バ~スデ~トゥ~ユ~の歌に「低い!」と爆笑しながら、19本のろうそくを2回で吹き消した。

 「昨日は実家に帰ったので両親にお祝いしてもらいました。でもこんな形はあまり経験がないのでビックリしたし、本当にうれしいです」。競馬学校時代にも同期同士でお祝いはしていたそうだが「結構、他の人は祝ったりしていたのに、私はやってもらった記憶ないんですよね」とジョーク交じりに嘆いた菜七子。「でも先生からはLINEが届きました。優しいです」と所用で不在だった根本師の“愛”に笑顔を見せた。

 1年前の“きょう”とは目まぐるしいほどに環境が変わった。瞬く間に全国に広がった“菜七子フィーバー”に始まり、新人としては異例の地方9競馬場で騎乗。日本中を飛び回り、ここまで9勝(地方含む)を積み上げてきた。「ジョッキーになる前はこんなに取り上げてもらえるなんて思ってなかったし、怒とうの半年間でした。全然まだまだだし、これからも今までと変わらずに頑張りたい」と謙虚に話した。

 19日には英国で開催される「ファティマ・ビント・ムバラク妃殿下レディースワールドチャンピオンシップ」の第13戦にJRA代表として初参戦。世界各国で戦う女性騎手たちとの対戦を心待ちにしている。「いつもどんなトレーニングをやっているのか聞いてみたい。もちろん競馬のことも。結構、長い間英会話教室に通っていたんだけど、ちゃんと話せるかな」と苦笑いを浮かべた。

 「18歳は凄く早かった。最後の10代なんで少しは楽しみながらやっていきたいですね」と締めくくった菜七子。そこには半年前にはなかった小さな余裕があった。普通のジョッキーとは全く違った道のりを歩んできた半年間。19回目の誕生日には、少し強くなった少女の姿があった。

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2016年8月10日のニュース