【凱旋門賞】オルフェーヴル 仏入厩先・小林師“絶対能力は世界一”

[ 2013年8月27日 06:00 ]

オルフェーヴルの凱旋門賞制覇に向け、今年も万全のサポートで臨むと語った小林師。自厩舎のザディヴァインの馬上で笑顔

 凱旋門賞(10月6日、ロンシャン)まで、あと40日。今年こそ悲願の日本馬初制覇を目指し、昨年の2着馬オルフェーヴル(牡5=池江)が24日午後(日本時間25日未明)、フランス入りした。凱旋門賞までの滞在でキーパーソンとなるのが、現地でオルフェに馬房を貸与する小林智師(39)。スポニチ本紙の独占取材に答え、既に万全の準備を整えていることを明かし、レースが楽しみと語った。

 今年も小林智師は池江泰寿師(44)と並んで、オルフェーヴルのシャンティイ到着を出迎えた。昨年は韓国・仁川経由だったが、今年は直行便で成田から。馬運車から降り、軽い引き運動をこなしてから馬房で疲れを癒やしたオルフェーヴル。輸送による熱発もなく元気いっぱいの様子を見て、小林師はあらためてオルフェの凄さに感じ入った。「まずは無事に到着して何より。馬体をふっくらと見せ、毛ヅヤも非常に良さそうだ」

 小林師はオルフェがシャンティイに滞在する際に馬房を貸す。もちろん、日々の調教メニューや、カイバの内容は池江師が逐一、指示を出すが、馬の様子を観察したり、帯同スタッフが過ごしやすい環境を整えるなど、小林師の役目は重要だ。「まだ目立った実績もない私の厩舎に、これだけの馬を入厩していただけることが本当に光栄。オルフェが最高の状態で本番を迎え、そして勝つために、私にできることは、どんなことでもお手伝いしたい」

 既にオルフェが入る馬房にはゴムシートを周囲に張り、壁を蹴った際のアクシデントに備えた。「22日早朝は8度まで冷え込んだ。寒暖差が原因で到着直後に風邪をひく馬も多いから気をつけなければ。もっとも、スタッフの方々も昨年の経験をお持ちだから心配はいらないが」。現地に在住しているからこその細やかなアドバイスは、日本馬の強い味方となる。

 最後にこう締めくくった。「オルフェは良でも重馬場でも、凱旋門賞を勝つだけの力量を備えている。昨年(不良)以上に馬場が悪くなることは考えにくい。スミヨンも2回目。あまりリスクを取らなくても、普通に走れる状態さえ整えば…。絶対能力は世界的に見ても突出している。私自身、レースを楽しみにしている」。勝利へのキーマンは笑顔を見せた。

 ◆小林 智(こばやし・さとし)1974年(昭49)7月20日、千葉県生まれの39歳。日大理工学部卒業後、北海道のコアレススタッドで勤務。01年渡仏。ハモンド、ギブソン、デルザングル厩舎で厩舎長、調教師補佐を務め、08年、日本人として初めて仏の調教師試験に合格。現在、6人(藤岡佑介騎手を含む)のスタッフを抱え、20馬房を管理。日本馬の仏遠征時には、今や欠かせない存在。

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