波多野厩務員、フリオーソで得たもの生かす

[ 2013年1月18日 06:00 ]

 【地方競馬です!!】「どうしたらG1を勝てるか」。夢を追い求めた先にフリオーソとの出合いが待っていた。

 08年、当時46歳の波多野敬二厩務員は担当馬のディラクエとS1東京ダービー制覇を狙っていた。だが4着に敗れたうえ、相棒は脚を痛めてしまい長期休養に。自分には足りないものがある。考えた末、「G1を勝っている川島正行厩舎に行って勉強するのが一番早い」と転厩を決意した。

 09年元日からフリオーソを担当。すでにG1・3勝を挙げ地方No・1の座にあったが、屈腱炎の不安が表面化してきた時期でもあった。ここから丸4年に及ぶ闘いが始まる。「とにかくフリにとって何が一番いいかを考えた。言葉では言い表せないが脚元のケア、調教方法などいつも気を抜けない」。電気治療や調教後のアイシング。丹精を込める波多野厩務員の姿がフリのそばにいつもあった。

 自らが担当になってからG1を3勝。かつて自分に足りなかったものは手に入ったのか。「1頭1頭馬は違ってこの仕事に終わりはないが、これほど長く一緒にいた馬は初めてで得た経験は多い」。フリオーソが引退しても、もちろん競馬は続く。1月23日にはエミーズパラダイスとTCK女王盃へ。「フリの名に恥じない仕事をと思うし、得たものを生かしていきたい」。肩の荷が下りたとほっと息をついたのもつかの間。そう言って波多野厩務員は前を向いた。(秋田 麻由子)

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2013年1月18日のニュース