【阪神JF】首差制しローブティサージュが2歳女王に輝く

[ 2012年12月10日 06:00 ]

大接戦のゴール前、わずか首差でローブティサージュ(手前)が阪神JFを制す

 「阪神ジュベナイルフィリーズ」が9日、阪神競馬場で行われ、5番人気ローブティサージュが馬群を縫って伸び、2歳女王に輝いた。2着が15番人気クロフネサプライズ、3着は10番人気レッドセシリアで、3連単は300万円オーバーのビッグ配当。須貝尚介厩舎は1番人気コレクターアイテムが4着に敗れたが、層の厚さを誇示した。秋山真一郎(33)は、NHKマイルC(カレンブラックヒル)以来となるG1・2勝目を飾った。

【レース結果】

 秋山は自信を持って乗った。最大のポイントが1番枠。内を突くのか、外を回すのか。スタート前、「内でいこう」と決めた。よほどの不利を受けない限り、インも突けるし、馬群も割れる。ローブティサージュの絶対能力を信じていた。

 「思い通りのいいポジションが取れた。4角を回る時の手応えも抜群。あとは、どこかにスペースがあればと思っていた」

 好位のインで我慢。直線、馬群がばらけた瞬間を秋山は見逃さなかった。ゴーサインを出すと、馬も瞬時に反応した。そこで待ち構えたのが阪神の急坂。強風も容赦なく吹き付けた。「ここが勝負だ、頑張れ」。秋山の左ムチで2歳牝馬はもうひと踏ん張りした。残り100メートルで先頭。差し返そうとするクロフネサプライズを首差振り切り、栄光のゴールへと飛び込んだ。

 「ゴールした瞬間は勝ったのか分からなかった。頑張ってくれたね。最後はこの馬の能力ですよ」。前日の朝日チャレンジC(ショウリュウムーン)に続く、連日の重賞勝ち。絶好調の鞍上は相棒を称えた。須貝師は「この馬もコレクターアイテムも、戦前から手応えがあった。本当にいい勝ち方」と喜んだ。

 夏の函館芝1800メートルでデビュー勝ち。次走に札幌2歳Sを使うプランもあったが「まだ成長段階。馬のためにならないと思った」(須貝師)ため放牧に出した。このあたりの判断の良さが、今年G1・3勝目、重賞8勝目をマークした同厩舎躍進の秘密かもしれない。「まだ馬体が薄くて、少女みたいなところがある。春まで待てば、もう少し女性らしいローブに会えますよ」。トレーナーはロマンチックな言葉で、来春の飛躍を約束した。

 今後は栗東近郊のノーザンファームしがらきに放牧に出る見通し。「次走は様子を見ながら決めたい」(同師)としたが当然、牝馬クラシック戦線の主役として王道を歩む。史上最速でJRA通算100勝目を挙げ、勢い止まらぬ須貝厩舎から出現した次代の星。若き女王が、さらなる高みを目指す。

 ◆ローブティサージュ 父ウォーエンブレム 母プチノワール(母の父シングスピール)牝2歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・シルク 生産者・北海道安平町ノーザンF 戦績3戦2勝 獲得賞金8447万円。

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